クラシック
たけ いたけ

「クラシック」

稲穂の先端が
千切れて跳んで
千切れて跳んで
潮騒が跳んで流れる
音符が嵐が金色を色づけていく
鼓動と音階鼓動と音階鼓動
休符が僕を梳ってしまう
その
傷口のしぶきが
千切れて跳んで
千切れて跳ん
それで
それで



大きな三時の音が広がり
遙かな山が光って盛り上がって
虹が聞こえる羽が生えて瞼が奮える
声が羽ばたいて 手から離れて響く
二度目の鐘がさっき鳴った
雲が揺れてうごめき出し
川は喜びをむき出し 讃えて 讃えて
三度目の合図で終る 讃えて


そして

2羽の野鳥の声が交差し合って
千切れず落ちて
野鳥の羽は
千切れて落ちて
稲穂の僕は
千切れて落ちて
皆 元に納まるように
土に埋もれて始める
遠い春を待つように
ただ小さく  小さく  小さく

小さく   小さく

消えていく最後も
稲穂の切れ端が僕の上に



自由詩 クラシック Copyright たけ いたけ 2004-04-11 23:16:12
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