うそをつくひと
船田 仰

ぼくはうそをついている
たいしたものでもない
だから君はベンチに煙草を
頭突きさせながら
そうやんなあ
とか、言う

蒼くなってゆく背景を
公園のせまさが増幅させる
桜が桜色にみえてくる
散っても散っても嵐にはならずに
ついでに言えば
もじったわけでもない皮肉が
ぼくを襲うくらいのものだから

自由をかんがえてくれ
そしてチョコレートをもういちまい!
しっぽをぴんと立てた猫があるくよ
今宵はコウモリも
るうるう、るうるう
とびます


うそをつくひと
おなかがすいた
とか、言う
地下鉄もバスも自転車も
ざわめきも
かなわないくらい風をうみだす
ぼくらの戦法で
ぼくらが行くんだ
ごめんなさいと言いたくなって
相手をさがしたくなる
そんなきみのこと
うそをつくひと




自由詩 うそをつくひと Copyright 船田 仰 2004-04-11 16:42:30
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