ひとつ 深く
木立 悟




雪が
裏側の碧を見せぬまま
降りつづけ
積もりつづけている


光が夜を昇る声
水を斜めに振り向かせる声
器のかたちに流れ去り
ふたたび器に満ちてゆく声


世界を横に引く音がして
何かが見えたはずなのに
さらに横に引く音がして
何かは見えなくなってしまう


まさぐるたびに
沈む水音
触れたことさえ
忘れる碧


ずっとそばにいた見えないものが
どこかへ去ってしまったのを知る
いくつかの景がひとつになるとき
火が生まれたままの姿になるとき


小さな光の指を詠み
小さな光ははしゃいでいる
遅れて到く祭たちの声
過重の夢のあかしの碧


高く積まれた灯が立ちならび
ひとつひとつが闇へ近づく
世界の扉にたたずむ碧
はざまに声を吹きこんでゆく















自由詩 ひとつ 深く Copyright 木立 悟 2007-02-05 00:08:03
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