「 狂月病。 」
PULL.







密売人から買った野良月に嚼まれた傷口からはひかりが、

躯がひかりで満たされてゆく。
おれの中であの月が満ちてゆく。



血管も骨も細胞も脳も眼球も、
すべてがひかり。
おれは。
ひかり閉じて夜を見る。
ああ闇とは、
こんなにも明るいものなのか。






最後の涙が流れ落ち雲に弾けて星になったひかる夜。












           了。



短歌 「 狂月病。 」 Copyright PULL. 2007-02-02 19:32:47
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