オリエンタル
ロリータ℃。


この部屋は空気が動かないから
こんなにも澱んでいるのだろう
弦をはじけば音が零れた
あたしはその中を 泳ぐように


『まるで夢みたいだろう』


貴方がくちずさむ英語の歌に
泣きたいだなんて思わない
甘い香りのお香が鼻腔を揺らして
煙草の煙があたしの視界を掠めているから
こんなに美しい景色をぼやかすんてもったいないよ


艶やかな色彩は確かにあたしの世界なの
長いスカートは複雑で美しい色をしている
けれど貴方だけが白黒に映り
枯れ果てた遺跡のように湿度が無いの

こんなに現実味が無いのだから
遠慮は要らない
最後に本当のお顔を見せてみて
泣きじゃくって歪んだ醜い顔までも
愛してるってあたしはどうせ思うのだろう


その髪の毛にあたしの香りは
どのくらいの大きさで潜んでいるのか
例えそれが微かでも
甘く薄い永遠みたいに付き纏うならそれでも善い
呪いみたいで美しいでしょう

(ゆめみたいよ)


そこにいるのに触れられなくて
まるで夢のせかいのように
あたしは哀しいと呟いた






自由詩 オリエンタル Copyright ロリータ℃。 2007-01-30 18:20:29
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