スワローテールの恋
こしごえ

遠い視線につらぬかれた夢のゆらぎに
ことりのさえずるこもれ日がそよぐ

おおきなまなこの
星夜のような瞳が
瞬きはせずに
宙をみつめている
しろい肌には
翼がしずかに舞いおりていた

こぼれて
閃光の輪舞が
宙で標本になりすます
いたいけな
まなざしが凍っている木かげにひとりぶん咲いている
どこですか
どこにいるのですか?

昨日がつみかさなっている
最上階で今日がこんにちはってほほえんでいる
下層では掃除ふもこんにちはって
手をふっている
雨は流れ流れて
明日へかえるしたくをしている
切ないらしい日の光は
らしい、というだけであって
しろい顔を照らしているのだった

青ざめてわれた砂時計の小径こみち
周回軌道に乗った
嚥下えんげされつづけるしっぽは
ひっそりと消化されつつ
タイムマシンの原子時計が狂う
あえたのかしら、と
光速で
(すみやかに世界は像を結ぶ)
涼やかな指先でなぞられていき
『わたし』が燃えるように にじみ始める

生い茂っている樹木の葉と葉と
その空のすき間にも
しあわせはすんでいる
大空ではいつもみんな笑顔
送ります
ありがとうの日々から
あいしている
あわい影そよぎ
そよぎ そよぐ軌跡が
すんだ水面みなもに零れおちて
波紋の伝わりが映りこみ
黒く透けている瞳にさざなみがたって
しろい肌から
しずかな翼が舞いあがった








自由詩 スワローテールの恋 Copyright こしごえ 2007-01-27 08:50:26
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