ノート(木蓮)
木立 悟


何もない手に
白が降りて
名前を呼んだ
もくれんよ
もくれんよ


微笑む間もなく
雨は来て
空を伝い
午後を撒いた


灰の鱗
一人歩きの傘
午後の陽の行方を 耳で追い
かすかな声にたどりついた


得られぬことを知りながら
空へ 空へ のばされる手に
ひとつ またひとつ
ちから無きちからのかたちに満ちてゆく


もくれんよ
もくれんよ



自由詩 ノート(木蓮) Copyright 木立 悟 2004-04-09 06:44:45
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