【鉄塔の歌】
つむじまがり

午前6時13分
白み始めた朝の空に
くっきり はっきり しっかりと
鉄塔が立っている

その美しい曲線で鉄塔同士手を取り合い
どんな歌を歌うのか
どんな踊りを踊るのか
どんな愛をささやくのか
僕らは鉄塔の歌を聞くことが出来る

午前6時35分
鉄塔の もっとも輝ける時間は終わった
もはや どんな歌も歌わず
どんな踊りも踊らない
隣の鉄塔とは連帯責任という名の鎖で繋がれてしまった
僕らは鉄塔の歌を聴くことが出来ない

明日の朝まで鉄塔は鉄塔と言う名の鉄の仮面をかぶり
詩人は詩人と言う名の顔を隠し
雀は無邪気に歌い始める

白み始めた朝の空に
くっきり はっきり しっかりと
詩人が立っている















自由詩 【鉄塔の歌】 Copyright つむじまがり 2007-01-23 23:40:07
notebook Home 戻る  過去 未来