グレイン
黒川排除 (oldsoup)

あれが彼です
と称されるところのわたし
火を燃やしているわたしが
彼ですのね
夜明けとの距離を埋めている燃焼
遮断する
いくつかの人影
少し離れたところにテント
もっと離れたところに村があり
同じく燃えている
果たして影を持たない村
黒い汁を革靴に溜めて
どうして裸足のひとたちに囲まれて
カラスが飛んできた
どうして
砂を盛り上げて
だってそれは空から
ひとの灰色の空
ひとの灰色の地面
降水確率ならぬ
降砂確率
小数点以下を夢見がちに
ばらまくことは許されて
 いない
 わたしは本当は
  目が見えて
 いない
テリトリーを侵すことは
 いない
  これなんだか分かる?
影の特権
 誰も
地面があるから
  あなたのお母さんのもの
 おしえてくれない
 雲と煙がどう違うか
傾けて転倒する
まだ空は遠い
 あ
  思い出した?
 砂がまた降る
まだ空に降ることは
  壊していいかしら
許されていない
 あるいは灰かもしれない
  ここで
 既に燃えてしまったのか
呼ばれぬ名前
未来永劫呼ばない

わたしの持っている枝を

伝ってくるのは火だ

あいだの建物は多分

跡形もなく燃えてしまう


自由詩 グレイン Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2007-01-19 06:34:14
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