背が高くて猫背のハラピンが
丸めた背中の内側で何か書いている
「せいかつのために詩を書いてるんだ」
試しに読ませてもらうと
「星」 作 ハラピン
星をひとつぶ食べたいな
食べたらお腹が光るかな
だと
もう一つ
「お腹」 作 ハラピン
お腹が減ったよちょう減った
いや、子供電話相談室に電話しよう
だと
何が「いや、」なんだか
これじゃあだめなんじゃないか
と言うとむきになった
「せいかつのために書いてるんだ!もんくあるか」
大きな耳をびくびくさせて言った
やばい怒った
ハラピンはぷいと向こうを向いて、よいしょと腰をあげた
原稿用紙を買ってくるそうだ
ハラピン痩せたなあ
と、思った
次の日
また何か書いている
いっぱいの束になった原稿用紙をとんとんとそろえて
きちんと封筒に入れて
ふー、とため息
これから出版社へ持ち込みに行くんだそうだ
「せいかつのためだからな」
またため息だ
どうせバナナの皮みたいになって帰ってくるんだろう
帰ってきたら、クリームたっぷりホットココアをおごってやるから
早く行ってきな