愛国
たもつ



レジに並ぶ
買いものかごには
陳列棚にいた
やせ衰えた犬が入っている
丸まることもできず
横倒しに細長い
耳を澄ませば微かな息遣いが聞こえ
たぶん生きているのだと思う
レジを抜けると
サッカー台からどこまでも遠く
ベルトコンベアが続いている
国の人の指示に従ってその上に
さっき買ったばかりの犬を乗せる
処分場に運ばれるのだ
さ、よ、な、ら、
を言って
僕わ、泣く
たとえ偽善者と言われようと
僕わ、泣く
それから、僕わ、
ちゃんと幸せになる




自由詩 愛国 Copyright たもつ 2007-01-09 23:09:26
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