非ジャクリーンの唾
黒川排除 (oldsoup)

オルゴール火口そばに音ごと流れんとす

ねむりに沢 よこたえて仮に香る肉体

石室の闇に消えゆく滑降痕

月に目を奪われ充血している月

飛ぶなどしてつまさきをこころにのせる

凧ひらりひらり模型の街だった

杖で強くつぐむ真実一切は無だ

(ここから2007年)

湯気はびこる道延々と続く

静かな日曜黒ばかり映す集会所のプロジェクター

時間擦れて光彩放つかつての地表

野原枯れて枯れた昼たまりやすくなる

かろうじて始原の地に立つ塩の針

書架の背ひらく血は花びらに例えておく

透かし見る蝋で封緘された苔

神主の脳裏と鎖状に繋がり詣づ

蝶も火の粉もわらわを残して逃げていく

膝の圧迫額縁抜けのけぞる上半身

血吸いヒルの本景色の真ん中におく

きのいのちをふたたび受けるためののぎへん

ふと集う三千種の記号の大河


川柳 非ジャクリーンの唾 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2007-01-09 06:40:18
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