夜明け
蒼依


六本木の夜を友達とはしゃいで
知らない人の人ごみの中で
音楽になんとなく体を乗せる

たまたま出会った男の人と
少し話してお酒をもらう

あたしはいつもピーチフィズ

名前と嘘のメールアドレス教えたら
彼はひらりと飛び立って
人の間に埋もれていった

あたしはいつもその後姿を
横目でちらりと見送って
またお酒を味わう

そんなことを何度も繰り返して
疲れたら友達とふたり
座っておしゃべり

大好きな曲が流れたときだけ
フロアでヒールを鳴らすの

今日はモテたねーなんて
笑いながらそこを出て
白くなった空を歩く

人もまばらになった電車に乗って
お酒の余韻と睡魔と一緒に
家までの道を歩く

新しい空気がおいしい
嫌なことを忘れて現実を好きになる一瞬




自由詩 夜明け Copyright 蒼依 2007-01-09 02:18:01
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