遠足
たもつ


校庭で担任の先生が
カマボコを食べ続けている
僕らのささやかな幸せを願っている
その向こうの少し遠いところには生家があって
大きな窓から僕の可哀想なお父さんが
目を瞑っているのが見える
電気カミソリの音がうるさい
と言ったきりあまり動かなくなった
お母さんはスリッパの修理に没頭しすぎて
飛び出すのが遅くなってしまう
僕らはすべての持ち物に忘れそうな名前を書き
その間、誰の幸せも願わなくてよいので嬉しい
バナナはおやつですか
そんな人に優しい質問だけが
あたり一面の風となって
また一切れのカマボコになる
  ハムスター死んじゃったね
  埋めて行こうね
遠足が始まれば
こんな遠くまで来るんじゃなかったと
きっと誰か言うんだろう



自由詩 遠足 Copyright たもつ 2007-01-08 19:34:51
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