ヨシ原(石巻市)〜その瞳をみていたら〜より/黒木アン
 
以下の方がこの文書を「良い」と認めました。
- 夏美かをる 
- 秀の秋 
- 北大路京介 
- そらの珊瑚 
- こひもともひこ 
- 宣井龍人 
 
作者より:
〜人と人・人と自然


東北最大の大河、北上川の河口には、およそ10?に及びますヨシの原が広がっておりました。
風に揺られて、涼やかな音色を響かせていた大海は「日本の音風景百選」にも選定されましたほどです。

この辺りは海水が入り込むため、微妙な塩分の混ざり具合により、硬く品質の良いヨシが生育され、ヨシがありますことで清らかな川となり、絶滅危惧種のサンカナゴイやヨシキリ等の野鳥の棲家にもなっておりました。

12月下旬〜3月下旬に行われます「ヨシ刈り」はこの地域の風物詩で、舟に積まれ、かやぶき屋根、ヨシズ、土壁の小舞などに使われておりました。

刈り取りに火入れ「まっすぐ伸びろ、まっすぐ伸びろ」と気持ちを込めました周辺集落の人の手が入り、それにこたえようと懸命に伸びたヨシ。
しかし、ヨシの原はその殆どがなぎ倒されました。

震災後は、全てが地盤沈下したためにおよそ7割が水没し、集落の大半そして人も流されました。

現在、ヨシ原を復活し保守しようと、かやぶき屋根を通して、今の社会で忘れがちな〜人と人のつながりや人と自然とのつながり〜を伝えたいと
「かやぶき復興プロジェクト」や
「ヨシ原再生プロジェクト」
が立ち上がっております。

熟練の技術を持つ職人たちが作りあげてきました伝統的なかやぶき屋根の建造物として、私たちの国には多くの重要文化財もございます。

今は、人の手も環境も整ってはおりませんが、いつの日か、何年経とうとも、地場の復興、茅場と人との復興を願わずにはいられません。

黄金に輝くヨシの大海が戻りますその日まで。

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