渋谷HMV閉店に寄せて〜ロングゴーン&ロンサムブルー/真島正人
 
以下の方がこの文書を「良い」と認めました。
- 竜門勇気 

ふと、この文章を読んでいる中盤で思い出した事柄がありました。
発狂した宇宙という小説で、主人公のキースはパラレルな宇宙で、
かつて自ら書いたわかかりし頃の小説をリライトします。
キースはパラレルの宇宙へと移される以前は雑誌の編集者で、
パラレルの宇宙で日銭を得るためにパラレルの宇宙のキースに
小説を買ってもらうために前宇宙で編集者として長年培ってきたノウハウを
フル活用し、プロットから記憶の中の小説をさらに洗練させて書き上げるのです。
しかしその作品の出来は、「良くなったところもあったが、悪くなったところもあった」という
微妙な出来。
この「良くなった」「悪くなった」は完全にキースの主観であり
現実には編集者受けの良い作品に仕上がります。

だからなんだよ、と言う感じですが、そんなことを思いながら面白かったですというようなことを言いたい。
言ったあとは、おかゆが食べたい。
- 岡部淳太郎 
- 夏嶋 真子 
YOU TUBEで配信中の《曽我部恵一presents HMV渋谷おつかれサマーフェス》を見てシミジミとしていたところに、ちょうど真島さんの散文を拝読し一つの時代の終わりを感じました。CDという媒体で音楽と触れ合ってきたから閉店はやっぱり寂しいです。
- 深水遊脚 
 私もかつてCDショップに足を運ぶのが好きでした。足りないお金で何を買おうか、ジャケットのデザインに見入ったり、そこに書かれた宣伝文句を何度もみたり、ラジオで聞きかじったことを頭で反芻したりしながら、時間をたっぷりかけて迷い続けていました。ですので、天王寺のお店でのジャズ専門館のお話が他人事のように思えないくらいです。
 確かに情報は正しくリンクすれば、あるジャンルの教養のようなものは効率よく得られます。試聴できればリスクなしで嫌いなテイストをあらかじめ遠ざけることもできます。でも、ショップの雰囲気やジャケットのデザインや勝手な期待のおかげで手に取ったヘンテコリンなものとの出会いが、固まった考え方を解きほぐしてくれたことも何度もありました。
 そんなギャンブルにも似た音楽との出会い方を、そうしなくても済む時代にあえてする人も珍しいのかもしれません。でも売るためのイメージ戦略であるジャケットや歌詞カード、ビデオクリップに軽く溺れながら気持ち良くギャンブルを楽しみたいような気もしています。
-  
- ふるる 
とてもよい文章でした。私も、子供の頃に親しんだ童話や児童文学の文庫版がほぼ絶版なのに驚愕した覚えがあります。少ないお小遣いで買えるのがよかったのに。子供向けの青い鳥文庫とかがラノベ化しているのは残念というか、時代だから仕方ないというか。
あと、レコード屋通いが徒労だったことはないと思います。見えない形で、ゲームのシナリオや詩や散文の中に「リズム」として生きているのではと思いました。
 
作者より:
読んでくださってありがとうございます。

>竜門勇気さん


眩暈がしそうな面白いコメントをありがとうございます。(笑)
実は僕も今日、主観の問題を考えておりまして、といってもファッションの話なのですが、僕は個人的にはだぼっとした服装が好きなのですけれども、人によっては「すっきりしているほうが似合う」というわけなんですよね。
僕は長い間、自分の主観を大切にしてきたのですけれども、最近、他人の客観のほうが大事かな、と考え直しつつあります。
といっても、その他人の客観をどう解釈するかという時点ですでに私の主観にすり替わっているわけですけれども。

>夏嶋 真子さん


曽我部圭一、個人的には『懐かしい』です。というのも、中学生の頃、僕は全然日本のロックを聴かなかったんだけど、友達がものすごいサニーディサーヴィス好きで、猛プッシュされたんですよ。そのときは、全然ピンとこなくって、今になって、すごく気になるというか、ずっと気になり続けている。懐かしいってのは変かなぁ、でも、不思議に心から離れない存在なんですよね。閉店は、寂しいですね。コレを機に、新しい何かが切り開かれればいいですね。

>かのっぴさん


おっしゃっていること、よくわかるような気がします。たくさん無駄もしたからこそ本当にわかることって実に多くて、その上、意外な出会いをもたらしますよね。先日、友達と、地図書き遊び(自宅周辺とかを記憶をたどって書く)をしていたら、僕の書く地図って、道が書かれていなかったんですね。建物だけが、位置関係のままに点在している地図だった。これって、僕が「位置さえ把握していたら、どうとでも行ける」と思っているからだと思うんですよ。友人には「馬鹿だろ」といわれたのですが、僕は、我ながら自分に感心したんです。(笑)なんだよ、俺もまだまだいけてる部分あるじゃん、って。場所さえ大体わかってたら、周辺は自分で適当に探すぜ。そういう精神って大切だなと思います。時間の無駄さも含めて。(笑)
---2010/09/10 03:11追記---

>ふるるさん


ラノベって、問題の一つとしては、含蓄があまりない部分だと思うんですよ。読んだあとに、腹にこたえるのがないというか。こういうことを書くと、ちょっとひどいような気もしますけど、どうしても、書いてる人の人生経験が薄いのかな?と感じてしまうことが多い。別に、含蓄がありゃいいってものでもないんですけど。ライトってのは形式であって、中身の濃淡は、濃くていいと思うんですよね。
もちろん、いい作品もたくさんあるんですけどね。

励ましてくださってありがとうございます。

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