好き/灰色の夢の中
 
以下の方がこの文書を「良い」と認めました。
- 雪女 
すごくいい詩ですね。心がすごく落ち着きます。
- 雅 羊々 
 最近友人に週末の約束をすっぽかされて、あぶれた時間を「さてどう潰そうか」とぶらぶらしているうち、結局近くのbook-offに立ち寄ることになりました。
 そこでなんとなく、本当になんとなく「月間美術」と言う雑誌を手に取りました。現代画家の仕事には全く期待していなかったのですが、ページを開いてみたら案の定、つまらない作品ばかりが並んでいる。どうやら何々賞を取った作品を列挙しているらしいが、私からはため息が出るばかりでした。そうしてバックナンバーを数冊読み進めているうち、ふと目を止めたページがあります。「白日会会員精鋭選抜『白翔の会』展」と書いてあるから、どうやらある志のある画家たちが集まって作ったグループの、作品展示会に出品された作品の写真が載っているページらしい。そして面白いことにはそこに載せられている二十数点の作品が(全て違う人の作品なのですが)どれも面白い。中古雑誌で700円と言うとなかなかの値段ですが、私はすぐにレジにもって行きました。
 さて、この写真の載ったページの次のページから画家たちの座談会の記述が載っているのですが、これがどうにもまずい。何がまずいかと言うととにかく話がかみ合っていないのです。「白日会の写実」と言うテーマで話をしているのですが、この「写実」と言う言葉に引っ掛って、一人ひとりがうまく言えているのかどうか探りながら喋っている感じが分かります。そんな様子だから相手の言葉に反応する言葉もうまくいくはずがない。だから談話としてはどうにもよろしくないのです。
 畢竟、彼らが「言葉のニュアンス」を捕まえ損ねている所からそうなっているのでしょう。小林秀雄氏も岡潔氏との対話の中で「画家と言うのはどうにも文章が悪いのです」という意味のことをいっていますが、それは矢張り詩人の専門ですから、それはそれで何も問題はない。(勿論小林氏もそれを分かって仰っているのです)けれども彼らは画家だから「色・線・構成のニュアンス」については間違えない。だから彼らの談話はちぐはくだけれども、絵のほうを見れば決して互いを見失っていないと言うことが分かるのです。
 私が彼らの作品を見詰めながら感じたのは、私を惹きつけたのは、一言で言えば「良いものを作りたいと言う願望」だろうと思うのです。

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