埃だらけのコンクリートに影を焦げつかせ、
立っているひとりぼっちの後ろ姿を見つける
のに君がずいぶん手間取ったのは、二歳の子
には高すぎる太い鉄柵がちょうど君の視界を
遮り、そこからコンクリ ....
言葉、とは
不思議なものだ

スリッパだと覚えれば
スリッパ以外の
なにものでもなくなる
寒い冬
人の足をあたためて
踏みつけられているくせに
そのいでたちは
ほんのり可笑しみを含 ....
一、

 

ひとつ、ふたつ

もっと

でたらめなものとして

 



わたしの

きみのわたしの

きみ

 

 ....
シクラメン曇りガラスの向こうから微笑み返す師走の窓辺

気づいてよヤドリギの下に立つ私キスして欲しいなんて言えない

雪の降る聖なる夜に祝福をポインセチアの火よ燃え続けて

凛とした清楚な ....
凍る
水の表面で
足先から
凍ってゆく
満ち欠けの
潮騒のように
訪れては
去ってゆく
感情に
感覚が
乗っ取られる
肩の上に
降り積もる
雪は
道にできた轍を
消そうと ....
冬をついばむ
くちばし

幼い蕾が
羽ばたく季節の夢をみている
今はまだ色を持たずに

たくさんのおみくじが
今年の枝に結ばれて
羽ばたく明日を待っている

少し前まで
小さな ....
 襖で仕切られた四畳半の、その襖を開けるとまた四畳半、また四畳半、大きさの異なる箪笥がいくつもあり、埃避けの布を掛けた雛壇があり、その隙間にすっかり平たくなった綿布団があり、そんな部屋が前後左右に際限 .... ホームを切り裂いて列車がページを捲っていく。同色の
制服に制服を重ね着してずきずきと圧密する、頭痛がちな
通勤電車のようにきつく綴じられた紙の隙間を押し開き、ぼくと
膝頭から胸元まで触れるほど巧 ....
あおいろの夜をむかえて鏡面のようなねむりの狭間で出会う


いしだとか、やさしさだとか、なにもかも総称してる冬のキッチン


らいしゅうの予定をきいて書き留める宇宙船から手紙が届く

 ....
疾走するのは 本当にかなしみだけですか?


拘束する身体が 飛び跳ねながら太陽に舞い込んだ


黒い黒い太陽に
大晦日は
子供部屋のとびらを
あけておかなくてはならなかった
トシガミサマが来るので

トシガミサマ
というものがなにで
どんな姿をしているものなのか
わたしは知らない

ある年の ....
生徒はいないけれど、わたしは詩のせんせいなんだよと娘に言ったら、「わたしが生徒になるから詩を教えて」って言われて教えるものはないから書いたもの見せてって言った 初々しいと言えば
きこえはよいが
あのころの私はとても無知だった

結婚して初めて過ごす夫の実家でのお正月
おせちに「くわい」を炊くという
新種の宝石のような
淡い水色でつやつやの丸い物 ....
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まほろばが うたいはじめるのです
フライパンの中は カタクチイワシの まほろばなのです
心が自然と フライパンに降りてゆき
放物線をえがいて 炒られて対流する香ばしい香りに
うたいはじ ....
 
 
ひし形の歪んだ街に産まれて
時々、綿菓子の匂いを嗅いで育った

弱視だった母は
右手の生命線をなぞっている間に
左耳から発車する列車に
乗り遅れてしまった

毎日、どこかで ....
  .
「どうだった?」
「なんとも…ひとことでは」
「入るまえに思っていたのと比べて?」
「こんなに誤解や行き違いが多いとは思わなかった」
  .
漆黒の{ルビ水面=みなも}をすべる細い ....
(S(HE)) 横になって感じるナンバーは ライオン
野生の猫の たてがみの美しさは 17

おきあがれない日
かなしい日
戦っていない日 
子猫のように爪をといでいる子が大勢いて強さを誇っていても
気 ....
きみがねむるまで
うたをうたおう
このよのふあんは
すべてわたしがたべよう
やすらなここちのべっどで
きみはすくすくそだつだろう
それをみて
わたしもすくすくそだつだろう
ははとして
 ....
ひらがな、が落ちてくるように
迷いながら雪が降ってくる
日本にちりぢりになった
あ、い
どれだけのあいの組み合わせが
あるのだろう

やがて
あ、と、い、は
溶け合って境界線をなくす ....
靴、ばかりを詰め込んだ、大きなキャリーバッグ。そこにひだりて
を置いて、まくら代わりに頬をのせる。ベンチに腰をかけながら、
指と、指のあいだを見つめている。鼻孔の奥に、巣食ったあくびを
殺せなか ....
昨日汚れた
白い食器

それをシンクに
溜めたまま

母は朝から
テレビゲーム


理想の親を
想像しながら
幼いボクは

小さな身体で
大きなため息
一つ吐く

 ....
一、石
石には普通、感情はないと考える。しかしある。
石はほぼ性別は♂である。しかし、生殖はしない。無機質なものには♂という性別があるものだ。
石は考えることが好きである。ひたすら考える、そ ....
「を」の人

鍵穴を
開くための 旅をしている


夜空は うすら明るかった
暗かったのは むしろ樹木のあたりだった
いきものの息遣いがするほうが 暗かった
なにか隠され ....
プラットホームを歩いていたら
数歩先で人と人とが
すれ違いざまに接触した。
体と体の打ち合う音がして
ボタンがひとつ
床に落ち、私の足もとに転がった。
思わずそれを拾い上げ
視線を元の場 ....
約束された
明日は無い
とはいえ今を
月の光る静けさだ。

わかっています、と幾度
こたえたであろうか
あの時
空から照らす透けた光にうつむいてさ
遠く遠い声であ ....
目蓋の夜、窓の外では四角い人造石の街が美しく燃えている。

 でもタバコはやめない方がよい。

目蓋の夜、見えない戦闘機が無差別爆撃をつづけ、火炎とすさまじい爆発音が窓ガラスを割った

  ....


眠るってなんなの
とても
生きているとは思えないほどの平穏だろう
なにも知らなくてもわかる
静かなことはわかる



目を覚ますと
ありとあらゆる音が聞こえ始めて
驚き ....
魚編の漢字が好きだ
目から鱗という言葉が好きだ
逆鱗に触れるという言葉が好きだ
そして わたしの言葉を読んでくれるだろう そんな あなたが好きだ

回遊する魚のように
 ....
すいせいさんのおすすめリスト(482)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
動物園- Lucy自由詩19*13-1-9
名前を呼ぶ- そらの珊 ...自由詩23*13-1-8
不一致- 佐藤真夏自由詩3*13-1-7
Flowers_〜冬〜- 未有花短歌10*13-1-7
一月- within自由詩8*13-1-7
素描- そらの珊 ...自由詩18*13-1-7
戦闘少女、戦闘少年- 片野晃司自由詩1613-1-6
ともだち- 片野晃司自由詩1013-1-6
I_love_you- ことこ短歌8*13-1-5
クォンタム_ブレイン- 佐藤伊織自由詩313-1-5
歳神様- 吉田ぐん ...自由詩1513-1-3
詩の先生- 鵜飼千代 ...自由詩15*13-1-3
くわい- そらの珊 ...自由詩30*13-1-1
檸檬爆弾(大画面専用)- こひもと ...自由詩5*12-12-30
末広がり- るるりら自由詩18*12-12-29
誕生日- たもつ自由詩2312-12-28
カロン- Giton自由詩4*12-12-27
彼女のなかに彼がいる- 阿ト理恵自由詩8*12-12-26
LION- るるりら自由詩17*12-12-22
やさしいうた- 小原あき自由詩8*12-12-21
ひらがな- そらの珊 ...自由詩28*12-12-20
始発電車を待ちながら- sample自由詩212-12-18
大人の扉- キダタカ ...自由詩9*12-12-17
石・草・虫など、その概念と考察- 山人自由詩4*12-12-9
『_を_の_人_』- るるりら自由詩1212-12-5
ボタンホール- sample自由詩6*12-12-4
月夜- こしごえ自由詩6*12-12-1
閉ざされた眼瞼と伝わらない言葉による意識の誘導- atsuchan69自由詩7*12-12-1
間欠- 佐藤真夏自由詩5*12-11-29
ホッチキスでとめただけの簡単な詩集、でもそれを君は本と呼んで- るるりら自由詩23*12-11-23

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