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夜に積み上げられた箱階段が
複製を繰り返す(発芽)
その上を
じゃばらの形に折れ曲がりながら
わたしの影が長く伸びつつ登っていく
星々が裏声でささやきあっている(給水)

そうやって
 ....
一枚の紙を
折りたたんでいく
半分に折れば
にぶんのいちの面積の
しかくが出来る
そこには
重なる相似形

出来上がりの形を
思い描きながら
そっと指で伸ばしていけば
ちいさなさ ....
終息に
ともなう安堵
かすかな
心残りを秘めて
三月が来る

中原中也賞を受賞した或る詩集を読む
悲しいことに心が揺れない
この詩集の良さは
三月が来ようとも
きっとわたしにはわか ....

まっさらな白い紙に
一篇の詩を書きつけ
それを食す

奥歯でかみしめていけば
罫線はよじれ
句読点が記号に戻っていく
口腔内の温度で意味の糊付けが剥がされ
構築された言葉はゆるり ....
人なかで咳が出ると
はやく止まれとあせる
半径3メートルにいる人たちから
無言で疎まれていると感じて
目的地のことなどどうでもよくなり
消え去りたくなる

独りで居るとき咳が出ると
ほ ....
ごすいって
ひすいに似たような

たおやかに
睡り続ける
午後
もくもくと
宝石になる練習をしよう

纏足の爪先から
あたたかな成分が溶け出していく
あらがえない{ルビ麻薬=レ ....
なぐさめが
嘘だと知っていた
けれど
この世の中に
ほんとのことなど
在るのだろうか

わたしの躰に産みつけられ
冬を越した
薄黄色い{ルビ卵=カプセル}が
もうすぐ
孵化を始め ....
備え付けの
グレイのロッカーの扉を開けると
中に針金のハンガーが二本
ぶらさがっていた

わたしの前に
入院していた人が
使って残しておいたものだろうか

ただ一本の針金からできてい ....
偶然触れてしまった
手と手の間に
青い花火が散ったのを
キミは静電気だと言ったけれど
人と人の間に
ぶつかって発生する電気信号みたいなもんさと
ボクは思った
キミが粒ならボクもありふれた ....
潮だまりに
奇っ怪な紫色の物体をみつけた
グロテスクな
おせじにも美しいとは思えない
そいつから
私は目を離せずにいた

素通りできない塊に
捉えられてしまった

学名 アプリシア ....
冬の落ち葉は屋根ですね
虫は春の夢をみる
柱も窓もないけれど
いのちが育つ
そのために
必要なものはそろってる
無用なものは何もない

あなたに家があるように
わたしに家があるように ....
冬の朝
道路に てぶくろが落ちている
手の形に作られた
左右対称のかたわれ
いつからここに取り残されていたのか
拾ってみれば
柔らかく凍えていた

{引用=ナイタアカオニ
アレハ
 ....
みいちゃんは
働きながら
ずっと両親と同居して
後半二十年は介護して
ようやく見送りました

パラサイトシングルとか
親離れできないとか
みいちゃんのことを
呼ぶ人もいたようです
 ....
【合唱コンクール】

 中一の娘が学校の合唱コンクールで、伴奏を引き受けてきた、と驚愕なことをいう。
 娘がピアノを習っていたのは小学校三年までで、どこをどうやったら、そういうことになるのか。
 ....
【つぶつぶとうがらし】

 このタイトルが、イコール「粒々辛苦」の振り仮名だと思う人がいたら、その人は私の同級生の○○くんかもしれない。

 そう、小学生(たぶん6年生くらい)の時、国語の書き ....
廃屋になる少しまえ
きみょうに やねがかたむきはじめた
それは ただのきっかけだったが
終わりまで止むことの
許されない
狂ったアリアだった
ちょうつがいが蝶に戻って飛び立つころ
えんき ....
しゅんしゅんと沸く湯気の上はがされていく、ボクののりづけ

きぶくれた冬の雀がひだまりでおとぎ話の続きをうたう

かあさんの手冷たいねりっちゃんの手はあったかいね

火傷した誰かの指のため ....
赤いウミウシの模様であった
デパートの包装紙
それで母はちゃっちゃかと洋服の型紙を作る
かつて何かを包んだものの匂いがしていた

ヒトガタに切った人形が
夢のなかでトモダチになるように
 ....
いい格好しなくていい
むしろ
ちゃんとしているとつまらない
ちゃんとしない人生を生きる勇気はないけれど
せめて
目も口も鼻も
とんでもなく
へんてこにしたれ
おかしくしたれ
ぶっちぎ ....
雪は
ひとひらと数えます

ひら、ひらと
落ちてくる様は
心がなにかを探しているようで

雪を
ひとひらと数えます

ふたひら
みひら
あとはもう数えるのは止めました

あ ....
大人になったら
幸せが飛んでくると思っていた

けれど
幸せの羽は飛び去るためにも存在する

大人って
幸せにちゃんとさよなら、できる人
たとえば
悪意であったなら
オブラートに包んで飲み込む

たとえば
優しさであったなら
丁寧に蒸留したあと
春色のカプセルにして
冬に打ちひしがれた小鳥のために
蒔いておく

た ....
空っ風の吹く夜は
別宅の湯屋のうすい硝子戸が
ぶるぶる震えて怖かった

ぼんやり灯る電球の下
木の蓋をとれば
お湯はもうもうと息を吐く
祖母は
もう、いいよ、というまで
ごつい亀の子 ....
言葉、とは
不思議なものだ

スリッパだと覚えれば
スリッパ以外の
なにものでもなくなる
寒い冬
人の足をあたためて
踏みつけられているくせに
そのいでたちは
ほんのり可笑しみを含 ....
冬をついばむ
くちばし

幼い蕾が
羽ばたく季節の夢をみている
今はまだ色を持たずに

たくさんのおみくじが
今年の枝に結ばれて
羽ばたく明日を待っている

少し前まで
小さな ....
ほら
めかくしをすれば
大丈夫
この世の全てのかなしみを
わたしの手で
隠してあげる

あなたが
もういいよ、といったなら
指のすきまを開けましょう


目覚めて
しずしず ....
初々しいと言えば
きこえはよいが
あのころの私はとても無知だった

結婚して初めて過ごす夫の実家でのお正月
おせちに「くわい」を炊くという
新種の宝石のような
淡い水色でつやつやの丸い物 ....
書き散らかした
言葉のきれはしを集めて
布団にしていたけれど
とうとう
足の踏み場もないほどになってしまったので
優しく重ねて
クリップで留めておく

クリップが
あなたの詩集だよ、 ....
夜の天幕はマグネット
キミが蹴ったつまらない石ころを
引き寄せて
星にすりかえる
朝が来るまで
せめて忘れたふりしてる

自分が永遠に満たされることのない
闇であることを

さみし ....
サンタクロースの
魔法がとけるころ
子供は無邪気な子供でなくなり
世界のファンタジーは
魔法使いになれなかった
大人が作っているものだと知る

ネズミーランド
幼いキミは
ディズニー ....
Lucyさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(396)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜の箱階段- そらの珊 ...自由詩22*13-3-7
家族の音がする- そらの珊 ...自由詩16*13-3-4
三番目の月- そらの珊 ...自由詩15*13-3-1
朝食- そらの珊 ...自由詩1313-2-28
- そらの珊 ...自由詩10*13-2-26
午睡_或いは崩れ落ちる砂の壁- そらの珊 ...自由詩24+*13-2-23
宴_/__春の祝福- そらの珊 ...自由詩19*13-2-18
針金ハンガー- そらの珊 ...自由詩23*13-2-7
スクールデイズ- そらの珊 ...自由詩17*13-1-29
あめふらし- そらの珊 ...自由詩14*13-1-26
小さなおうち- そらの珊 ...自由詩21*13-1-25
かたわれ- そらの珊 ...自由詩9*13-1-24
みいちゃん- そらの珊 ...自由詩12*13-1-23
珊瑚の小径2(エッセイ)- そらの珊 ...散文(批評 ...9*13-1-22
珊瑚の小径(エッセイ)- そらの珊 ...散文(批評 ...9*13-1-20
アナザー_ドア- そらの珊 ...自由詩1713-1-19
放課後の音楽室で- そらの珊 ...短歌11*13-1-18
かりぬい- そらの珊 ...自由詩34*13-1-17
笑いあって福きたる- そらの珊 ...自由詩19*13-1-16
ひとひらの雪- そらの珊 ...自由詩1513-1-15
成人式おめでとう。- そらの珊 ...自由詩10*13-1-14
調剤室で- そらの珊 ...自由詩27*13-1-11
湯屋のおもひで- そらの珊 ...自由詩14*13-1-9
名前を呼ぶ- そらの珊 ...自由詩23*13-1-8
素描- そらの珊 ...自由詩18*13-1-7
めかくし- そらの珊 ...自由詩1413-1-4
くわい- そらの珊 ...自由詩30*13-1-1
クリップ- そらの珊 ...自由詩18*12-12-29
マグネット- そらの珊 ...自由詩20*12-12-28
ネズミーランド- そらの珊 ...自由詩10*12-12-25

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