すべてのおすすめ
横向きで寝る
いっさいの灯りを消しても
消せないものが浮かんでくる
まぶたを閉じても
眼球が光のない世界で動くように
スイッチを切ったつもりでも
同時にもうひとつのスイッチが押されている
....
使いすてのミュージック
心にも無いメロディーを歌うかい?
使い捨てのミュージック
ありきたりの言葉で泣いて笑うかい?
きっと悔しいことや
悲しいこと
なんだかんだ思うことなんかを ....
僕をそのまま酸欠にしてね
内臓がぜんぶ月の石になってしまうような夜
どちらにせよ死にたいという言葉は
とてもとても不適切で
もう子供じゃないね
僕たちは
もう二度と書けない詩のことを
....
遠い星を見つめて
丘のうえ爪先だちで
手を伸ばしてみる
遠い
遠いんだと実感する
掴めるものは何もない
墨色の空/新月の空
星はこんなにも
たくさん瞬いている
風が吹いて ....
私が人を喰らう時
人は塩っぱい汗の味がした
道行く人を喰らう時
人は泥と草との味がした
私が隣人を喰らう時
人は木を噛るような味がした
私が父を喰らう時
父は魚のはらわたのよ ....
女の子って何で出来てるか知っている?制服だって成分みたい。それはもう無添加で透明で遺伝子組み換えでない。学校とか、専攻とか、教室とかでかわっちゃう未来。中庭で創作ダンスをしていた普通科の子たちは、なに ....
トマトで顔を洗っては真っ赤になるだけ
それか蚊取り線香みたいだ
月にお休みを言え
楽しい話は夢のなかでしなさい
自転車を押していくと
道路がぱらぱら開けていく
こんな風になって ....
セックスのあとで
めずらしく君が眠っている
男は眠るものだろうか
君は起きていることが多いようにおもう
日常には官能がおちている
おち窪んでいる
せいかいに近づくには
どこかまち ....
もうすぐ間氷期が終わる
と言ってももうすぐは
宇宙サイズの話だから
明日の事かもしれないし
百年後の事かもしれないし
なかなか終わらないかもしれない
まもなく氷河期がやって来る
....
おやすみなさいと
私の周りで泳いでいた言葉の魚たちがささやく
まるで百年の眠り姫の林檎のように
私が初めて口にした小魚は母の胎盤の中
臍の緒に繋がれて
息遣いの音と共にやってきて
生き ....
人の爪の根元に、白い浮島があることを知ったのは小学生の頃。
「これね、大きいほど元気な証拠なんだって。病気になると薄くなったり、小さくなったりするらしいよ」
友達から教えてもらったなんの根 ....
夜ふけの町を
自転車で走っていると
住宅の庭から
金木犀がほんのりと漂ってくる
ああ 甘くてよい香り
若い頃 東京に住んでいた
渋谷 荻窪 吉祥寺が大好きだった
私は男と漫画を描い ....
契約社員の給料は安い
だからアルバイトも必用になる
午前四時前 朝刊配達に出かけると
山のふもとの住宅地
時折いろいろ見かけるが
エゾシカを見たのは初めてだ
角ある雄と雌のつがい
街 ....
海に似せた塩水の中で
アサリが生きている
暗い冷蔵庫の中で
触手を伸ばし
冬の海だと勘違いする
時々さみしくなって
ステンレスボウルの海底で
誰かを探してキュウと鳴く
わた ....
葉は大きく強い自分を誇らしげに自慢していた
しかし親の細く貧弱な幹の太さを知ると
風で飛ばされ無いようにと力の限り握り続けるその親の姿が情けなくて
父を軽蔑した
細い葉 ....
ぽろぽろぽろ
言葉がおちる
温かみのない言葉がおちる
刃物のようにとがっておちる
後悔と苦悩が降り注ぐ
冷たい言葉を君に投げた
君はきっと、泣いたでしょう
やがて来る明日を嘆 ....
121018
カ行に溺れて真っ逆さまに転落し至った果てが奈落の底
現在の表現だと地獄の底と言うことになりますかねと
来るべき総選挙のことを少しだけ考えなが ....
眠るときはまるくなる
骨を抜いたイカのように
立派な毛皮に包まれた
ただの肉塊になる
目の玉はビー玉
なにを映すかはまだ決めてない
占いはできないけど明日はみえる
今日と似ていて少し ....
重ねると傷になるからね
特に完熟
「桃太郎」は品種名
「トマト 妻せつ子」はブランド名
品種による
大玉、ミディ、ミニは、あるけれど
それだけではない、育て方で
品種の普通より小 ....
殺される前に殺せ
ほんとにやるのか
やわらかい生活
はねっかえるからむずかしいんだよ
敷布団は固めがよい
腰によい
君が隣に寝ているはずなのに
ちがう人の顔に見える
友 ....
○父
窓から庭のブランコを
眺めることが多くなった
あれにはもう一生分乗った
と言って
時々体を揺らす
背中が
押されるところではなく
支えられるところとなってから久し ....
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