すべてのおすすめ
かなしみをうつくしく飾っておくために
かなしみのかなしみという蓋をそっととじて
ひとりのわたしは
それを花冷えの野に埋める
たとえ
きのうのわたしがそれを掘りかえしても
もうそこにはわたし ....
?.
夜をくだる木の小舟に乗って、
流され、産み落とされた河口の、
なめらかな汽水の均衡のなかで、
嬰児の不鮮明な母音が浮沈し、
灰色の歓声、と、
どこまでも平たい原野、
手を、 ....
影色のつよい風が吹き
王国を覆う黄砂の霧のなかで
蠍のかたちをした遺伝子が蠢いているのがみえる
おぼつかない足元には
名前が奪われたばかりの獣の
黒く濁った骨が転がり
天にはたかく
いく ....