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ひび割れた指先から 
冬の滴がしたたり落ちて
大地に染みこんでいくとき
温い風に梢を揺すられ 
慌てたまんさくは
葉芽を出すことも忘れて
よじれた花を開いてしまった

北の風に身をよじ ....
いつも 
車両に乗り込んだ人は
先から乗ってきた人に
目で挨拶を交わしたきり
閉じたままの窓の外へ
視線を泳がせたまま
死んでしまう

いつも
死んだ人間が運ばれていく車両に
今日 ....
洗濯物の模様になって
取り込まれたテントウムシ
手足を縮めて
ぼく死んでまーす

アジサイの葉に
赤と黒の水玉模様
手を触れれば地面に落ちて
ころころ転がり
ひっくり返ってぼく死 ....
一と言う字を書いた
それはゴールテープ
真っ先にあなたが通り抜けて
一は消えた

東の果ての一
海と空の境界から
太陽が覗き一日をはじめるとき
あなたの舟が一の中へ消えて行く

 ....
子どものころから知っていた
その今度は 
生涯 来ないこともあることは

だから
続きは また今度 
と言われたら
諦めるしかない
父の{ルビ骨=コツ}は先祖代々の墓には入れない
同じ仏教でも宗旨が違うから

そんなことを言ってきたのは
父の後を継いだ弟
新たに入った宗旨に則って 
その寺の経営する墓地に
墓を買った ....
穏やかで笑顔を絶やさない
優しい人は
素敵な人でしょう

でも
人生には
笑ってばかりはいられません

自己を守る戦い
家族を守る戦い
自由を守る戦い
平和を守る戦い
ぼくはまだ生まれていなかったから知らないけれど
シーボルトさんはこどものお年玉に一両あげていたでしょうか

ぼくの祖母さんは裏藪で竹の皮を集めて
一厘とか五厘とか 子どもだったお父さんの小遣い ....
高校進学説明会で
ある高校の教師が声を張り上げ力説した
「うちを受験する生徒は 
 学業成績は悪い。問題生徒も多い。
 私たちが試験場で見たいのは 織田信長です。
 ご存知でしょう
 うつ ....
騒いでいる状況じゃない
ことぐらいは分かっている

騒いでいる間に人生が終わる
ことなど無いこともわかっている

それでも騒ぎたいときがあるだろう
騒いでいるときは不安や苦悩を忘れること ....
夜も光が満ちあふれている
というのに何という暗さだ

積乱雲の内に潜んでいた狂気が燃え上がり
炎となってなだれ落ちた北の空
燃え広がる炎は山を飲み込み
夜と昼 夏と冬が入り交じった都会の
 ....
あれも喰おう これも 
と皿に盛り上げた品々
同じ料金ならば
というケチな根性
ではないのだけれど

食い始めて
ちらっと目に入る隣のテーブル
皿にはサイコロステーキが載っていた
 ....
どんなに騒いでいても
静かに眠っていても
来るものはくるのだ

 小川一本の県境
 だからといって
 
 天候が
 変わるわけでもないのに
 天気予報は変わる

 水の性質が ....
夜店の風鈴のように
蔓棚から垂れて枝にぶら下がり
秋風に吹かれている卵
茶色く毛羽立った上着の中は
半透明なグリーンの輝き

物珍しさと
手間の掛からない栽培が
流行を呼び 
夏は陽 ....
           猫だけを置いて
           家人が出かけてしまうと
           猫は人になると飼い主は言う

電話が鳴る
猫は眠っている

電話が鳴っている
 ....
だまされたのかも知れない
甘いにおいに誘われて
近づきすぎた

 人だって 
 グルメな匂いに弱い
 縁日の雑踏の中の醤油の臭い
 に誘われて 
 埃と一緒に口に入れる
 焼きと ....
土曜日の朝
詩の学習会に出かける電車の中
文庫を読んでいたが 文字がぼやけて読みにくい
片目を閉じてあたりをながめ 見付けた左目の異状
会場で雑談中に報告すると
詩友はきつく念を押す
「必 ....
秋を着飾った紅葉が
全ての葉を落とした

裸になって
冬の薄い日差しを
目一杯受けたいのだろう

やがて来る
春のために
秋の陽を受けて
河原に転がっている小石
何百年も かかって
水に運ばれ
磨かれ
なめらかに 
平たくなって

足もとの一つ
掌にのせ
眺めていると
水切りをしたくなり

幾つ ....
七里御浜の白砂の端の
岩場から顔を上げ
碧い海の彼方の故郷に
吠え続けたいく春秋
下半身は岩に同化した


桜吹雪に包まれて 
華やぐ心に
霞みに消える空を
呼び止め 呼び戻し
 ....
 昨年末開業いたしました「雀のお宿」 過日、一組のお客様が賑々しくご出
立されて以来、お声を掛けてくださる影も、お立ち寄りくださる方も見かけま
せん。昔のように、近所を徘徊なさる群雀さまの賑や ....
右に左に吹く風に
流されながらバランスを取り
逆らっているようで風に乗り
高みに登ってしまった凧よ

 風を詠み 
 目立たず
 叫ばず
 場に溶けて
 ひっそりと生きている ....
この話内緒よ
あの人から聞いたのここだけの話よ
あなた秘密守れるでしょ だからこっそり教えるけど

それは秘密のまま人々の間をまわり

その話聞いたけど秘密なんでしょ
あなたも聞いた ....
     医師はどこにも病気が
     見あたらないというのだがー

汚れた世界をばかりを見続けていた 
とも思えないが 硝子体に埃が溜まって
見つめる視野の中心が霞み 
左目で見る妻に ....
 3 足のある眼鏡

わたしの仲間は誰でも言うのだが
決して信じてはいなかった
「眼鏡には足がある」など

だが 今朝 眼鏡が消えた
確かに洗面台の横に置いたのに
顔を洗っている間にど ....
むしり取られ山積みされた路傍の名も無き草
人は一括りに雑草と呼ぶ けれど 
一本一本取りだし丹念に調べればたいそうな名が有って
いや 持たされて 力芝 車前草 藪枯らし 葛
ああくず 葛餅 葛 ....
定年退職したから 専門知識を生かせという
世界中の研究者たちと協力して
大所高所からものを言い
人類の平和と繁栄に尽くせという
わるい誘いではないけれど

しかしなあ どうして退職してから ....
   
たたかれても 怖がられても
一日中笑顔で過ごす 
他には表情が無いから

人間と同じ姿に作られて
どこで間違ったか
喜怒哀楽が有るように錯覚されて

人と遊びたいとも思わない ....
                 
紅葉した山腹に 村落が置き去りになって
その上空を横切る高速道路を車が飛んで行く
山に張り付いた林道が村落から延びて
水筒を肩からたすきに掛けた男が一人登っ ....
人の体温に恋して
霊は家に住み着くらしい
頼んだわけでもないけれど
周りにたむろする木や草の
のぞき込む好奇心を追い返し

昼間 人が出かけても
テーブルの下 柱の陰
ドアの後ろの暗が ....
夏美かをるさんのイナエさんおすすめリスト(242)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
早春素描- イナエ自由詩11*14-2-24
いつもの車両に- イナエ自由詩12*14-2-22
擬死- イナエ自由詩12*14-2-20
一と言う字- イナエ自由詩7*14-2-17
また今度- イナエ自由詩11*14-2-10
墓と骨- イナエ自由詩13*14-2-4
戦い- イナエ自由詩8*14-2-2
スケール- イナエ自由詩8*14-1-30
そとづら- イナエ自由詩6*14-1-30
お祭り騒ぎ- イナエ自由詩13*14-1-25
クリスマスローズ- イナエ自由詩13*14-1-12
バイキング料理- イナエ自由詩8*14-1-9
越年- イナエ自由詩18*13-12-27
キウイフルーツ哀歌- イナエ自由詩13*13-12-24
猫と電話- イナエ自由詩20*13-12-21
ウツボカズラ- イナエ自由詩18*13-12-19
異状であっても病気じゃない- イナエ自由詩9*13-12-14
裸木- イナエ自由詩15*13-12-12
- イナエ自由詩17*13-12-10
獅子岩- イナエ自由詩7*13-12-10
雀のお宿廃業のお知らせ- イナエ自由詩15*13-12-5
KITE- イナエ自由詩7*13-12-2
秘密- イナエ自由詩4*13-11-28
年を取るとはこういうことか3- イナエ自由詩10*13-11-26
年を取るとはこういうことか2- イナエ自由詩17*13-11-24
名も無き人- イナエ自由詩8*13-11-16
世拗ね人- イナエ自由詩11*13-11-13
アクトロイドの愛- イナエ自由詩9*13-11-8
亡き従兄弟に捧げる- イナエ自由詩7*13-11-6
家霊- イナエ自由詩22*13-11-4

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