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アスファルトの割れ目から
草は小さい両手をひろげ
生えている

(露水晶に陽を写し)

僕の中にも
自らを開くいのちの種が
眠っているかもしれない  








 ....
若き日の明るいあなたは
処女詩集を上梓して
母親代わりの恩師から
優しい言葉をかけられました

在りし日の母は瞼に浮かび
うわっと涙の数珠が
頬にこぼれた落ちた時

透明の体で影から ....
白髪の師は
開いたドアに凭れて
私を待っている

次に私が
ドアを抑えて
青年を待っている

ほんとうのことはそうして
語り継がれてゆくだろう

ドアを抑えて立つ、私の傍らを
 ....
人に厳しい言葉をいただいたら
じっと…胸に手をあて
瞳を閉じ
遥かな山の合間に沈む
あの夕陽をみつめていよう

弱いこころの、{ルビ蟠=わだかま}りや
こびりついた、エゴまでも
あの夕 ....
深夜、火がついたように
泣き出した2才の周は
生まれた時と同じ病院に
急遽、肺炎で入院した

生まれて間もない
ちっこい周を世話してくれた
懐かしい看護師さん達が
「あらあら、かぜがひ ....
人が(ことば)を綴るようになったのは
一体いつからなのでしょう?

無数の国のあらゆる時代に
(ことば)が創られるより遥かな昔
宇宙に独り(ことば)はしーんと、住み
あなたの胸に転生した( ....
「かわいい」
保育園の部屋に初めて入った周を
年長の女の子が、迎えてくれた

「じゃあね」
僕と妻はにこやかに手をふって
若い保育士さんに抱っこされたまま
きょとん、とする周をあずけてか ....
眼下の木目のまな板に
鯛が一匹、のっている

包丁を手にした、僕は
ひと時の間、思案する

いつかの夢の誰かの囁きが
何故か脳裏にりふれいんするのだ
(かっ裁いちゃあいかん、かっ裁いち ....
夢を追う者よ
君の往く旅の途上で
現実の壁が立ちはだかる時
憂えてはならない

(人間には、翼が無い…)
と地面にしゃがみこんだ、悔しさで
涙を拭い、ゆっくりと立ち上がり
まなざしを向 ....
地下へと続く階段の脇には
だらり、とぶら下がった黒いコンセント
に結ばれた、赤い糸

地下のさびれたライブハウスでは
音程の狂った歌手が
あの頃のみっともない僕みたいな
コッケイな恋の溢 ....
いけ、いけ、リスクを獲れ
いけ、いけ、リスクを抉れ
いけ、いけ、リスクを掴め

掌で、あの日流した悔し涙を
もう一度、握り潰して
額には、汗を滲ませ
いざ、中央突破のフィールドへ
繰り ....
(南無アッバ)をひとすじに唱え
天寿を全うした井上洋治神父が
空へ吸いこまれ、風になった日

霊柩車を見送る
カテドラル教会の庭の木々の緑に
透きとおる一陣の風は吹き抜け――

アンジ ....
フォークで肉を、刺す。
スプーンで米を、掬う。

皿に盛られた
ガーリックステーキライスを
凡そ10分で、たいらげる。

皿の上に残された、尖ったフォークを
包むように重なる、楕円のス ....
頭に菊の飾りを、挿した
大正浪漫の着物美人は
ほんのりと笑みを浮かべ
白い両手に裏側のカードを3枚
つまんでこちらに、見せている。

(これはあなたの運命よ…
 さぁ、どれを引きましょう ....
片方の手を取って
九十歳のきくさんと
介護の青年は
デイサービスの廊下を
ゆっくり、歩く。

きくさんは、皺の寄った右の拳で
くしゃくしゃなちり紙を
握り締めている。  

「それ ....
熱燗の、おちょこの横の
受け皿に
五匹のししゃもが銀の腹を並べ
口を開いて、反っている

いつか何処かで観たような
あれはピカソの絵だったろうか?
絶望を突き抜けてしまった人が
空を仰 ....
ソチ・オリンピックのテレビ中継で
上村愛子選手の姿を見て
ぐ…っと来た、僕は
少々涙腺を緩ませながら
隣に座る、妻に云った。

「攻めに攻め、金にも勝る、滑りかな」

数日後、シスター ....
大雪の翌日

退院間近の幼い息子を迎えに行けるように
シャベルを握り、腰を据え、無心になって
門前に降りつもる雪の{ルビ塊=かたまり}を、掬って、投げた。

玄関から顔を出した、姉さん女房 ....
ほんとうに「優」れているものは
「優」しさが、宿っています。
そうして「優」しい人というのは
どこか「憂」いている「人」です。

じぃ…と「優」を視ていると
(百の愛を身ごもる人)の、微笑 ....
御褒美の、早いひとがいる。
御褒美の、遅いひとがいる。

人生の開花予報はいつなのか?
そんなことは、知ったこっちゃあないのです。

(明日は明日の風が吹く)
と誰かさんが言ったっけ。
 ....
僕は一日、働いて
妻は入院中の周を日がな看病した後
落ちあった、ファミリーレストランの、夕の食卓。

「今日は俺が運転するから、たまには飲みなよ」
「え、ほんとう?」

つい先ほどまでは ....
幸福は、煙のようなもの
しゅるる…と宙に消えては
ほら
気づけばそこに、漂っている  
白隠禅師が、墨で描いた
手のひらの絵が
硝子ケースの外に立つ、僕に
語りかけた

(両手を打つと、音は鳴る
 片手で音は、どうすれば鳴る?)

姿の無い白隠禅師が問うので
硝子ケース ....
妻が一歳の周をつれて
立ち寄った鎌倉の教会に、入ると
お告げの鐘は、夕焼け空に響き渡り――
グレーのベールを被った修道女等は
晩の聖歌を歌い始める  

祭壇に姿を現したのは  
私達に ....
人は、日々の食事を摂っています。  
心には(言葉の食事)が必要です。

もし、あなたが
本屋の棚に並んだ背表紙へ
伸ばした手を、引き寄せられて
開いた本の活字等の
一文字ずつを、よく視 ....
母の胎に宿ったあの日から
天の両手につくられている
あなたは世界に一人の、彫刻です

遥かな空の青さの中に
薄っすら透けた天の両手は
黙った姿で、待っています――

いのちの全身を、震 ....
金色のジョッキの中で
無数の気泡が昇ってる
(この世の重力と、逆だねぇ…)

そう思いつつジョッキを片手に
金色の水をぐい、とひと飲みすれば
火照った頬はあたたかく――

日々の悩みも ....
時折、詩友達で集う
神楽坂のキイトスのドアを、開いた。
1年ぶりのマコト君が
カウンターで教えてくれた。  

「○○さんが沖縄から来て
 この近所で詩の展示をやってるよ」

   * ....
「果」という字をじぃ…っと見ていたら
「田」のマスに、よっつの実が浮かんできた
「木」の下には、見えない根が巡っていた

「果」という、くだものの木の姿を現す
ひとつの漢字の幹の中に
(天 ....
電気を節約するために
暖房のリモコンを
遠くに置いて
日がな布団に包まり
みの虫の姿で、本を読む。

外から帰り
しろい吐息をはく妻が
傍らに坐るので
火照った手を取り
少々疲れた ....
夏美かをるさんの服部 剛さんおすすめリスト(245)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
草の種- 服部 剛自由詩8+14-5-22
葉ずれの、音- 服部 剛自由詩614-5-22
風の通路- 服部 剛自由詩614-5-18
- 服部 剛自由詩114-5-18
初めて入院する夜に__- 服部 剛自由詩814-5-6
夢の手紙- 服部 剛自由詩914-4-25
小さい靴_—入園の日に—- 服部 剛自由詩1614-4-25
まな板の鯛- 服部 剛自由詩414-4-20
白地図を往く- 服部 剛自由詩714-4-14
新宿の地下室にて__- 服部 剛自由詩1214-4-14
明日への滑走路- 服部 剛自由詩6+14-3-29
風の祈り- 服部 剛自由詩2*14-3-22
フォークとスプーン- 服部 剛自由詩5+14-3-6
浮世絵の女- 服部 剛自由詩314-3-2
白いちり紙- 服部 剛自由詩1014-2-27
ししゃも- 服部 剛自由詩21*14-2-20
選手宣誓ー或るスキーヤーの涙ー- 服部 剛自由詩6*14-2-20
詩人と雪掻き- 服部 剛自由詩8*14-2-16
「優」__- 服部 剛自由詩8+*14-2-12
葡萄酒の晩餐- 服部 剛自由詩7*14-2-10
歪んだコップ- 服部 剛自由詩11*14-2-8
幸福- 服部 剛自由詩414-2-1
家族の手- 服部 剛自由詩414-2-1
神のいたずら- 服部 剛自由詩414-2-1
言葉の食事- 服部 剛自由詩5+14-1-30
天ノ両手- 服部 剛自由詩614-1-23
金色の水ージャズ喫茶・ちぐさにてー- 服部 剛自由詩414-1-20
ギャラリーフラスコにてー詩友との再会ー__- 服部 剛自由詩414-1-20
いのちの文字__- 服部 剛自由詩5*14-1-16
掌の花- 服部 剛自由詩6*14-1-16

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