失恋を下さい
凍月



君を見つめてももう何も無い
恋は苦しいものだと教わった
けれど
鼓動が乱れる事も無く
君の後ろ姿を見続ける

君を想った所でもう何も無い
赤い流れの速度は変わらない
僕は自分で自分が分からない
なのに
君の心の中を探ろうとしても…

流れ星に祈る事など何も無い
確か
過去のいつかは持ってた願い
三度唱える事も今はもう無い


僕はせめて片想いをしたい
理屈じゃないなんて分かってる
けれど
君を見ても何も感じないから

叶わない恋とかしてみたい
だってこのままじゃ
恋に恋する事すら出来そうにない

だから僕は失恋が欲しい
粉々に砕け散った恋の欠片が欲しい
だって
失恋は恋がなくっちゃあ
成り立たないものなんでしょう?


僕だって
鮮明で熱烈で一途で儚い
そんな普通の恋がしたい
君を見るだけで火照っちゃうような
そんな普通の恋がしたい
それが無理ならせめて
恋をした、って過程を飛ばした
失恋の悲しみだけでも味わいたい

君への想いは消えたまま
普通の恋すら抱けないのならば
君に恋する事が出来ないのならば
嘘の記憶だって構わないから
空虚を悲しみで埋められるから
せめて
僕に失恋を下さい






自由詩 失恋を下さい Copyright 凍月 2015-02-16 21:42:55
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