空のどこかが
解けて
みずが零れる
雨
モノとコトの上に
容赦なく
みずが注がれる
雨
雨
ぬるんだ雨は
葉っぱを揺り起こし
やわらかな雨は
根っこにじ ....
風を眺め
風と語り
風を伝える
もうすぐ名前がなくなる村の
公民館の屋根のてっぺんで
風を聴き
風と歌い
風を奏でる
僕は少し錆びついた時間を
飽きもせずにつ ....
打ち込んだ言葉が
操作ミスで 消えた瞬間
何もかにもを なくしてしまったような 喪失感に
さいなまれそうに なる
目の前で 笑う 姿に
かなうものなど ないのにね。
私の心臓に突き刺さった一本の棘。
抜くことはできないのか
河は輝いているが、私は輝きをなくし
生気が吸い取られていく
私の中の水面はどぶねずみ色になり、
なくなった。私も私でなくなった。 ....
例えばもし。
火が存在しなければ、
情熱を「燃やす」ことさえ、
どれだけ難儀なことだっただろうか。
気がつけば、
Facebookの友達の数は
とっくに一年の日数を超えてた。
一日一人ずつ会っても、
一年間じゃ足りない。
そう考えると、
一年にたった一日でも
一人の人を独占でき ....
もしも鳥だったら?
あたしゃ、きっとペンギンさ
灰色の空を見上げるだけのペンギンさ
風邪でやすんだら
テレビの前にふとんをひきなおし
教育テレビを見つめていた
いちばんお気に入りの番組は
はたらくおじさんだった
あの頃働くのはおじさんだった
な ....
わたしは
時々
星になる
星になって
{ルビ盲=めしい}の
黒蜥蜴の歩む道を
照らしたいと思う
わたしは
時々
風になる
風になって
見えないけれど
触れることを
証明し ....
海岸沿いをレンタカーで走った
波しぶきが空にあがってゆくのが見える
それが雲になって風を待ちかまえている
すべての雲が
そんなメカニズムでできている訳ではない
でも二 ....
飛んで跳ねて
飛んで跳ねて
俺の好きな踊りを見せてくれるかい?
地面に打ち付けられた屈辱を
取り返すかのようにJUMPING
今夜も川に流れていくのかい
俺の足も洗ってくれよ
その清 ....
かつて
南ヨーロッパのとある
国の丘陵地帯に
歩く丘がいた
褐色の肌を晒し
雨期には溢れんばかりの
涙を海まで流し
風期には
丘に寄生した樹木が
....
また会えること楽しみにしてるから
小、中、高と慣れ親しんだ街で
兄も弟も都会に移り住んで私と父と母での都会暮らしが始まって
何だか寂しくて
今でもこの都会から故郷へ戻りたい気持 ....
気付けば時間は過ぎていきました
未熟で幼い私に対して
優しくしてくれる大人に戸惑いながら、私は大人になっていきました
過ぎていく久々に苦しむこともなくなっていきました
もう人は優し ....
人の気持ちなんて星みたい
見えたり見えなかったり
遠すぎて不確かなもの
あこがれて美化して
ほしくってこがれて
そのくせ
目をそらしたくなったり
こそこそ 隠れたりする
想 ....
おもいで、と
よく似た部屋では
呼吸がかなしい
呼吸が
まったく叶わない、
なんてことにはなり得ないから
しんしんと、
かなしい
痛み、に
からだは染まらないから
....
おととい
この夜のあの月のしたで
だれかが
新しい発見をしただろう
よかった
圧倒的な量だけが
なにかを成すのだ
おととい
この夜のあの月のしたで
だれかが
新しい発見をしただ ....
さくらんぼの花が咲いている
うっすら目を閉じ微笑んでいる
ソメイヨシノのような艶やかな色香はない
浮世を忘れようとその下で酒宴を張る者もいない
白く清楚なその花は
....
嵐の海を
さまよう
一艘の舟
なすがまま
耐えるのみ
時間が経つのを待ち
天に祈る
無事に帰れますように
次の朝港につく
灯台は一晩中
見守っていてくれた
感謝します。
....
目覚め
悪意が芽生える その刹那
化粧
七色の砂嵐は旅人の死を覆い隠す
時は
ナイフのように刻みまた削る 皺を 記憶を
残された心拍数を
図書館で
昼過ぎまで文字たち ....
痛みを感じた左腕が
必死に
「生きたい、生きたい」と
赤い滴を流した
僕はそれを見て
「生きていること」を感じた
僕の左腕の生きた証を見る人の目は冷たく
僕はまた生き ....
ただよう空気のようにここにいる
今の自分はただそれだけだった
決まり事に疑い持たず信じてきた
自分で考える事をしなかった
疑問を持とうとすると
何もかも驚く事ばかり
見えない何かが ....
人生は旅だという
人生は忍耐だという
人生を楽しむという
人生を苦しみという
人生にはいろいろあるよという
人生には意味なんてないという
ただひとついえることは
....
こんなに長く生きるつもりはなかった
こんなに長く荒廃した街を彷徨うつもりはなかった
ただ、高みに登りたくて
{ルビ宙=そら}への階段を探していただけ
時間は無慈悲に流れ
すっかり年老いてしま ....
鳥の囀りが
風に乗り
詩になっていく
花の分身が
風に乗り
詩になっていく
雨の音符が
風に乗り
詩になっていく
ここで
みんなが
風を待つ
わたしの言葉も
風を ....
いくつもの
肥え太った想いが
出口に殺到して
立ち往生している
よこしまで
メタボリックな想いが
喉の奥でせめぎ合って
脂汗をかいている
バイパスを回り込んだ
耳障りの良 ....
街全体がさみどりの煙のなかにあるようだった。
煙が目にしみる。
街道に木々がつらなっている。
そこには生まれたばかりの新緑が散らばっている。
この柔らかな色彩。
時間がま ....
わだかまりの小石を
ランゲルハンス島の砂浜に
捨てたところで
塩辛いもやもやは
寄せては返す
しがらみから逃れようと
前頭連合野の深い森を
彷徨ったところで
粘っこいもやもやは ....
ひとりに
ひとつ
影があるって
知ったのは
いつだったろうか
夕暮れの公園で
誰かの影を踏む
本体は
笑っていても
影は
笑わない
いつだって
静かに
かなしんでいる ....
亀が道を歩いていた
甲羅をつかむと
慌てて首を引っ込めた
のは
何故かぼくの方だった
亀は空に向かって
首をおもいっきり伸ばし
退屈そうに大きな欠伸をした
ぼくはその一部始 ....
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