プリンが逃げた
スプーンですくった勢いを利用して
逃げた逃げて
とっさに細胞分裂繰り返し
増えた増えて
もとのかたちに戻って
勢いよく
はねてはねて
と ....
髪を染めて
ビートルズみたいだね
から
ジョンレノンみたいだね
と言われ
俺が生まれる9年前に
銃殺された彼を
知るはずもないこと
を忘れた
つまり
ジョンレノンは今もここにいる
....
君の目と太陽が重なりあう時
キツイ日差しを和らげる雲は
すぐそこまで駆けつける
君が一人で地を{ルビ這=は}う時
視界を遮る{ルビ朝靄=あさもや}は
一目散に寝床に帰る
君の手が{ ....
冷静なる心を持ち
勇猛果敢に攻めたてろ
水の雫を割らないように
燃え盛る炎の中でも雄叫びあげて
俺たちは勝ちに来た
俺たちは勝ちに来た
親父は敗れて割腹した ....
海が
めくれてゆく
いくつもの
いくつもの
海が
めくれて
岸壁から
追い縋って
宙を泳ぐ指先に
紫貝のように
閉じる音楽
(母は海に還ったのだ
街が
たわ ....
あい変わらずぼくは
かなしみを知らなかったから
トーイチに会いにゴミ捨て場へ行った
夜中に網小屋まで降りて来て
悪さをする星どもなら知っとるがの
じゃが かなしみは知らん
カン女に ....
学園都市線の高架下
灰色の橋脚に二羽の鳩が仲睦まじく
寄り添ってはキスをして
激しく身をよじってはまたキスをして
やがては重なり 羽ばたきながら
気の早い春が固い雪を緩め
茶色く水っぽ ....
人生は手紙
読み進むごとに
春夏秋冬喜怒哀楽
答えは最後のお楽しみ
人生はビリヤード
当たり当たられ飛んで行く
誰が誰を動かして
こいつがどいつに影響されたか
白玉だって分かりはし ....
こんな朝に
カラスのカの字もありゃしない
太陽はふやけた面の木偶の坊だ
白い国道の上
黒いおまえは完全に死んでいる
暗がりのおまえは
いつも何かを舐めていた
おまえが前を横切る時には ....
明日は 今日よりも軽やかに
と我々は{ルビ希=のぞ}んで
今日は 昨日よりは{ルビ厳=おごそ}かに
と我々は慎む
平穏になればなるほど
勝手にもがいて 考えこんで 苦しが ....
がんばりんさい きばりんさい
けれど ちからを ぬいてきばりんさい
どうしても 我慢ができんときは うちを おこりんさい
あんたになんもしてやれん
あんたの出すもんを うけとめて
....
昨夜わいわい
朝までざわざわ
朝の光が心軽やかにする
どこまでも行けそうだねと
笑い声がする
皆が帰り
皆が居なくなり
息づかいだけがそこに残り
そこに温もりがあったであろ ....
今しがた
ひとつの詩を投稿したのですが
後から湧き出てきた
良心の呵責に
削除してしまいました
ロシアの宇宙船が落ちてくるという
ニュースに思わず笑ってしまい
皮肉った詩らしきものを書い ....
あんまり寒くて
鼻水が出た
そんな時
あなたが好きだと
ふと気付く
起きて 動いて 眠る
起きて 動いて ただ眠る
はっと目が醒めれば
朝なのか 私は誰なのか たじろぐ
ただ淡々と過ごす日々は
だんだん世界が甘く柔らかくなっていき
マショマロのようだ ....
ピントの合わないこの感じが好き
行っては戻り回り道
落ち葉が綺麗で下ばかり向いて歩いているから
行き過ぎてしまったよ
まだこんな時間なのに
夕焼けが繊細な色合いで空を幾重 ....
つばがじわりと溢れる
喉ぼとけを鳴らし梅干しを予感する
大きな瓶に詰められた
肉厚の梅干しは
弾けそうなほど丸みを帯び
さあひと口でおやんなさいと
口をまんまる放り投げれば
すっ ....
遠い異国の地で安い労働賃金により
生み出されるスニーカーたち
一日中機械の音を鳴らしながら
大量生産されていく顔はどれも同じ
それは何かのはじまりに購入したスニーカー
もう何年履いたかは ....
遠くの向こうから眺めていたら
誰かと思って近寄ったら
案山子だった
今にも動きそうな気配を漂わせているのは
こがねいろした稲穂が風で波打っているからだろうか
生命に溢れた大地に自分だ ....
深呼吸する緑の葉っぱたちは囁く
ほとばしる生命、咀嚼しろ
艶やかに見惚れる果実たちは囁く
弾ける生命、咀嚼しろ
八百屋の親父は最後の仕上げに
ふうっと息を吹きかけ
....
目をとじて
遠いどこかで
目をひらく
ただそれだけの
世界がすべて
見慣れた風景が流れてく
電車の中で
「梅は咲いたか、桜はまだか」
そんな言葉を
思い浮かべては
あなたの事を
想うん ....
あたしのなかにあなたが
ひと雫しみて
ふた雫しみて
だんだんと濃度が増してゆく
こうやって蝕まれていくのね
、この世のすべてのものは
細胞が喰われた、あなたの言葉に
血液 ....
1 2 3