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黄昏が
輪郭を奪い
ネオンが灯りだした
町並みの真上
薄雲に隠れ
ほのかに
きょうの月
ああ
そうか
僕は君の
輝きばかりを追い求めて
ついにその形を
知ること ....
摩天楼の輝きは南極の煌めきに似て
梅雨空が霧雨のようなブリザードを呼び込む
クールビズなどどこ吹く風で皇帝ペンギンが
大挙して目の前を通り過ぎていく
陽炎が眩暈を連れてくると
....
腕から生える腕
腕から生え他の腕に潜る腕
すべて腕
てのひらの無い腕
てのひらだらけの腕
今日の天気は腕ときどき腕
ところによりにわか腕
という天気図を指し示す腕
腕そば一丁、腕大 ....
カツン
病院の夜
廊下に映る非常灯
漂う薬品のにおいに
鈍く刺激される静寂
今夜は無風
女はそういったことを言ったと思う
喫煙所の密室(いまどき室内なんて珍しい)
いつからここにい ....
都会の街に充満する廃ガスよりも
前方歩く男がふかすタバコの煙が喉を刺す朝
横断歩道の欄干へ両腕広げて立ってみた
隣には数珠繋ぎのカラスの一群
最左端の僕は異端の新参者
道路の川を下る自動 ....
月が鳴る。蛙や虫も鳴きだして
演奏は合奏へ
坂の上から トロッコが転がってくる
思いの他 スピードが はやかったが
私はパレード 道をゆずるのではない
!!と、目の前で曲がって消えた
....
緑色の蛇になった私の左手は
悪魔に魂を売り渡そうと
日々 画策している
私の目を盗んでは
悪魔の行方を捜し回っている
赤く先の割れた舌をちょろちょろと出しながら
夜な夜な
徘徊す ....
街の外れに人工的な自然空間がある
コンクリートの楼閣の変わりに
樹齢重ねた大木のビルが押し並ぶ
針葉樹に広葉樹に
シダにツタに
一年草に多年草に
アジアの繁華街の看板のように
無造作 ....
摩天楼に乱反射する西日
お堀のみなもを揺らす
ビイドロの巨大なレゴの間に見える空
暮れなずむその時
夕焼け雲が小さな感傷のベルを押す
あの子の泣きべそ顔のほっぺは茜雲
見送り駅 ....
チョコレート
チョコレートの包みを
あけたのは
退屈なカエルが
土の中から這い出て
鳴いたから
スカーフ
ほめたら{ルビ白髪=しらが}まじりの
老婆がくれた
....
太陽を盗んで、
穴に落ちて、
暗闇で、
空っぽで、
誰もいなくて、
誰もがなくて、
誰も待ってなくて、
遠くで、待って、くれなくて、
悲しくて、
苦しくて、
....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
濃厚なアフロヘアで口髭ともみあげを尖らせていた男は
行く先も告げずに、これから映画でも見るかのように
ビスケットを食べている。運転手は問いかけに応えない男の表情を、
男の口からこぼれ落ちるビスケ ....
樫の木の下で眺める
フェンスの向こう 霞ヶ浦で
クルーザーが揺れている
その遠く 建物の明かりが
夜の中に沈殿する様
ぼんやりと灯っている
広い駐車場には 数台の車
一台のセダン ....
あなたが あのこと キス する あいだ
とおい むかしに たびをして いた
おとが すこし
きこえにくかった あのころ
まいくに きょうみが でたのは
そのこ ....
ひしめき合う
咽返る快速電車の朝
ブルーマンデーの皆を嘲笑い
僕の親指は仮面舞踏会の最中
顔の知れない誰かの胸を
リズミカルに揺らす
巧妙な文字列で
ハチャトリアンのワルツを踊ろ ....
芸術家は
空気を縁取り
眼光で線をなぞって
作品を産み出す
時に上手く型取れず
スランプに陥り
滅入る夜
ベッドに身を任せ
枕を抱き
瞳を閉じた折
Museの姿が脳髄に降り ....
水無月の海にあじさい色の傘の花
哀しみの膜に包まれていく予感
この哀しみの粒も海に飲み干され
輪廻する永遠の中に浮遊するようで
ゆ
ら
ゆ
ら
ゆ
....
たとえば少年の溜息を
たとえば少女の独白を
空は拾いあげるでしょう
空にはみんなの星がある
たとえば背広の焼酎を
たとえば情婦の香水を
空は拾いあげるでしょう
空には ....
{引用= ―飛ぶ そらを
びゅうびゅうと風の音を聴く}
ルルる
おお
手をひろげ
風を身いっぱいにうける、ルル
はてぞない世 ....
冷蔵庫の中で
産声をあげようと
するあいつ
ある時ママは
つぶれたあいつを見て
僕のせいにした
やさしさが足りないせい?
けど
僕は修復不可能な
あいつをみて
楽し ....
男のズボンの右ポケットは
いつの間にか上着の胸ポケットに繋がっていた
えいっ、と腕を突っ込めば
指先が胸ポケットからにょきりと出る
それが生きていくうえで何の役に立つというのか
試し ....
自転車のかごに乗っていた子供の瞳はこうだ。―見てはいないが、映している。
映されていた、天使は、大人になるための訓練をしていた。それというのも
見過ごす事で、無疵のまんま成長したがる人間がたくさん ....
工場地帯の駐車場に捨てられていた吸殻から
男女のひそやかな絆が曝される。互いにひかれ合う、
男と女の意欲と表象、一度出ると伸び広がりつづける地平線に
偽りの太陽や月が、沈まずに居座っている。何個 ....
英会話教室で
日本語のしゃべれる外人の先生が
アメリカでは大統領を呼ぶときでも
“YOU”なのだと言った
英語は世界の標準語らしい
くそったれだな
僕には大切な
お前とキサマ ....
今にも泣き出しそうな空
鬱屈する憶いまで塗り込めていく
しらちゃけた大地に空が投げキスのダイブ
待ち詫びた花弁にもジャンプ
透明な繭になって落ちてくる
ぽたぽたと追憶を綴る
忍び込む甘 ....
自分で自分が保てないとき
ベッドの中で
ヘッドフォンつけた魚になる
音は内壁を舐める
あたしの形をなぞって
まだ崩壊してないことを教えてくれる
でもあたし
気分は ....
青白い踊り子たちが
フォークから零れ落ちたコーンに
見とれてる間に
輪郭を失ったこの口を
青林檎のちぎれた指先で
そっと息を止めよう
トロピカルドリンクが売り切れる前に
この手には限りがあることを
渋々から卒業をして
潔く
承知出来るようになったんだ
五本の指は五本でひとつ
二本の腕は二本でひとつ
一生懸命になるのではなくて
一生懸命にならざ ....
いまだキルトを綴るという
針の動き、
広がる愛を不安と呼んだ彼女よ!
違う!僕はそう思わないよ
歓楽通りを歩いていると、
後をつけてくるとかいう例の老人がやって来て、
不眠症の男に地図 ....
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