指先が追いつかないから
言い訳を放棄した七月
名前には太い訂正線が引かれ
出席番号は削除された
どこからか、逃げて、と言う声がしたけれど
靴箱はすでに包囲されていたから
上履き ....
出口があまりに白過ぎて
産道の途中で立ちすくむ
心細さに
両手に暗闇をひとつずつ握りしめた
行く宛のないいのちはやがて
小さなひと型になって二本足で歩く
発達した耳に語りかける ....
この手

結んでひらいたら
あなたらしき人が立ち上がる

駆け抜ける
そのたった
ひととき

どこかがあたたかい

結んでひらく
なぞるように

もういない
あなたら ....
ちょうどよいのが
ティファニーの偽物だった
だから彼女は
それを大切に身に着けていた

彼女は泣かない
代わりにティファニーの偽物が
泣いてくれるから
だから彼女は泣いたことがない
 ....
ちょうどそばにいたネコを引き寄せた

ひっかかれて少し泣いた

ネコの体に顔をうずめて匂いを嗅ぐ

ねこくさい

ネコは諦めたように
うにゃうにゃ言ったので

遠慮なく会社の愚痴 ....
しあわせをうたおう

なんて言いながら、自販機にキスをして
一本のいろはすを手に入れれば
君と分け合えるりんごフレーバー

 落ち着いてしまうの

疑問文だったろうか、誰かがきいた
 ....
細身の女は、
恐ろしく小さな核ミサイルを抱いて
なぜだか不思議と人通りの少ない
一匹の異様に痩せた野良猫の、
か細い瞳で睨んだ薄汚い裏通りに
幾年月も在り続けたベンチさえ置かれていない露天の ....
夜更けに植物たちの呼気が肺胞を満たし
ぼくはしずしずと座席におぼれていく
鶏頭の形をした虫みたいな小さな生き物が
呟きのように車内灯に集まり始めている

窓の外では乗り遅れた人が持て余し ....
私はもうすっかり
おかしな人になって
それからずいぶんになる
何しろいろいろあったり
あるいはなかったりしたのだから
無理もない
夜中に煙草が切れた
もういまやこれだけで
おかしな人と ....
ノイズをもってこい
おれを食ってくれ
鳥が死んだんだ
だれにも知られずに

メロディーはいらない
ノイズをもってこい
思想はいらない
おれを食ってくれ

庭師は庭を焼いたんだ
 ....
 
 
ぬかるんだバス停で
いやらしい下半身を
露出した時計
ポピーの花束を持って
佇んでいる
金属製のモノを
口に含むと
すぐに射精し
その異物を手に吐き出せば
様々な言語の断 ....
ここにあるのはただのがらくた
偽物で繋ぎ止めた
僕の透明な城
見える奴にしか見えない
はりぼての城

僕はそこでしか呼吸ができない
僕はそこでしか物が見えない
僕はそこでしか声を出せな ....
深い 深い

濃い 濃い

広がりなのか

狭まりなのか

ドロ ドロ とした

トロ トロ とした

ゆら ゆら とした

ゆっくり と ウネるように

点はないけれ ....
一代を30年で計算すると

ぼくの20代まえは600年まえ

それは室町時代のただ中で

西暦1400年前後の人々のこととなる

2を20回掛けると104万8576

だから600 ....
 初夏

少年の頃
お話の木の絵を見た

広葉樹の木陰で
子供達が
眼を輝かせ
耳を傾けている
お婆さんのことば
森や草原を漂い
風に運ばれて
村や町や港や
海や諸国を巡り
 ....
みえないところで 
さみしそうにみえること
みえないところで
さみしそうにきこえること
わたしをうつしているのかな
わたしはおなじくらいさみしいのかな
しゅんとなるわけではないけど

 ....
アイスコーヒーがそそがれようと スタンバイに光る五月

雨季までの浮き沈みのない 涼やかな丈の長い 影法師の欠伸

万能なまでに普くを招く 煌びやかな夜の スタンバイに心躍るかぼちゃの馬車
 ....
みんなといってみたかった場所がある

それは地平線が見えそうな草原に
暖かな風が吹く海辺に
木漏れ日が揺れる森に

みんなはもう土の中だね
墓石も何も無く
静かに僕の庭にいるんだね
 ....
身体中に流れるコールタールが心臓を突き破った

屋上から見上げた空には自由の文字が浮かんでた

地に着いた両足は腐り始めてる

優しい人達の笑い声は遠く

涙だけ詰まったボトルが転がっ ....
{画像=120511115342.jpg}
小さい頃 私は
イチゴは木になるものだと思っていた
あの赤い実はサクランボのように
枝にたわわに実っていて 
それを食べるのだと信じていた

 ....
野の花が
あんなにも
優しげに微笑むのは
きっと
手向けの花であるから

肉体を持たぬ人に
花以上に似合うものが
あるでしょうか

空腹も感じないので
食べ物はいらない
物欲も ....
根付いたまま、窓硝子の曇りでわかる
明日はきっと爽やかな風が吹くでしょう
…おかあさん…と呼べなくなってしまうおふくろ
自分を愛することを捨てた 。
あなたの背中を拒否するように
 ....
午後を夜に変える光を
首にまぶして遊んでいる
声の無い鳥たち
枝のなかのはばたき


土に臥せるほどかがやく花
枯れ野を歩む枯れ野の足音
砂と光が
空をなぞり 花 ....
くらやみを大きな箱でまっすぐ
ぐねぐねと 山越え
べっどたうん に 帰る
疲れた背中たちをみている
眼は うつむき 遠くを見てる
あきらかに この中に明るみはなく
ただ ....
 
 
ぼくの骨が溶けだして 
飴玉のような
真っ白な塊になる
飴玉だよ、と 
近所の子供にあげると 
骨みたいな味がする 
そう言って無邪気に笑う 
骨の無いぼくは
ぐにゃぐにゃ ....
距離を測ってみようと思う
単位は人間
おかしいな
昨日は1人間だったのに
今日は2人間だ
このまま離れていったなら
いつか
このものさしでは
足りなくなって
私は
人間に戻れなくな ....
わしは実は ふたごだったと聞かされた日
そして わしのふたごの兄貴だった人は生後まもなく死んだのだと聞かされた日
ねぇちゃんと グリコを分けて食べるように わたされた
ねぇちゃんに 言うた
「 ....
 いやお義父さんね
 そういう言い方って
 反動的なんじゃないっすか
 やっぱ

 大体無知だね
 お義父さん
 婚姻は両性の合意のみに基いてって
 知ってんでしょ
 知んない
  ....
夜中、近くで唐突に
金槌の連打が始まった
どこかで屋根を叩く
天気予報では
明日は雨と言っていた
大工は屋根を叩く
厚い雲の下、夜闇の中
もの皆眠る屋根の上
一人の大工が屋根を叩く
 ....
あなたの骨というものは、果たしてあなたそのものなのでしょうか。
それとも、それはただあなたを指し示していたに過ぎなかったのか。
あなたの肉はひどくあなたに似ていたが、どうもあなたではなかったようで ....
インディアンサマーさんのおすすめリスト(170)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
古い日誌- peau自由詩3*12-7-7
おまもり- peau自由詩5*12-7-7
祈りは仄かに発光する- うめぜき自由詩112-7-7
その日を眠るために- もっぷ自由詩1012-7-6
ネコ- 暗闇れも ...自由詩912-7-6
大人の証明- かんな自由詩6*12-5-16
暁のエクスタシー_★- atsuchan69自由詩10*12-5-16
最終列車- たもつ自由詩812-5-15
おかしな人- 岡部淳太 ...自由詩912-5-14
ノイズ- はるな自由詩612-5-14
オーラル- たもつ自由詩212-5-14
蕺草(未詩・独白)- プル式自由詩812-5-14
星をつくる人達へ- DoTo Mariko自由詩2*12-5-14
考えなくても考えてること- 吉岡ペペ ...自由詩212-5-14
初夏- 壮佑自由詩26*12-5-12
みさみさわわし- 唐草フウ自由詩13*12-5-12
スタンバイに踊る- 朝焼彩茜 ...自由詩10+*12-5-12
最初の森- ちゃむ自由詩412-5-12
自由の文字- 永乃ゆち自由詩3*12-5-11
【_想像の芽_】- 泡沫恋歌自由詩17+*12-5-11
- そらの珊 ...自由詩26*12-5-11
遺言花- アラガイ ...自由詩12*12-5-11
ほとり_しずか- 木立 悟自由詩612-5-10
見ていた星- 唐草フウ自由詩13*12-5-10
骨飴- たもつ自由詩612-5-8
ものさし- そらの珊 ...自由詩15*12-5-8
グリコのおまけ- るるりら自由詩25*12-5-7
詩人- 藪木二郎自由詩2*12-5-6
連打- salco自由詩7*12-5-5
骨のあなた- 73自由詩812-5-5

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