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夜更けに植物たちの呼気が肺胞を満たし
ぼくはしずしずと座席におぼれていく
鶏頭の形をした虫みたいな小さな生き物が
呟きのように車内灯に集まり始めている

窓の外では乗り遅れた人が持て余し　.... 　
　
ぬかるんだバス停で
いやらしい下半身を
露出した時計
ポピーの花束を持って
佇んでいる
金属製のモノを
口に含むと
すぐに射精し
その異物を手に吐き出せば
様々な言語の断　.... 　
　
ぼくの骨が溶けだして　
飴玉のような
真っ白な塊になる
飴玉だよ、と　
近所の子供にあげると　
骨みたいな味がする　
そう言って無邪気に笑う　
骨の無いぼくは
ぐにゃぐにゃ　.... 　
　
はがれていく。
ブランコに乗る。
千枚通しの先端が怖い。
パジャマ、
家族の。
さわやかな朝、
という一人きりの先制。
専制君主。
ルイ十四世。
掃除をする。
はがれて　.... 　
　
都会のカラスが都会を飛ぶ
そして都会の彼女は
赤いハイヒールで
都会を軽やかに歩く
空が飛べないのはきっと
背中の羽が邪魔だから

そんな彼女は
首がない、ただそれだけで
　.... 　
　
椅子に座ると
海が見える
水平線の向こうでは
犬が笑っている
知らない異国の言葉で

信号が変わり
スクランブル交差点が
背丈の違う人々で
溢れかえる
皆、舗装を痛めな　.... 　
　
ケイコは献血に行く
ケイコは血圧が低い
血糖値は正常の範囲内で
血色は良く
健康的に見える
ケイコは毛が生えているが
蹴鞠のイメージはない
ケイコはケーキが好きだ
けれどケ　.... 進化したヤカンが
群れて空を飛ぶ

どうしてだろう
せっかく産まれてきたのに
生きることと
死ぬことばかり考えてる

大通りでタクシーを拾う
そのまま
ポケットに入れる 　
　
学齢期をむかえた父が
レジに並ぶ
帳面と鉛筆を買ったのに
店を出ないで俯いている
帰る場所がわからないらしい
どこから来たの、と聞くと
わからない、とだけ答える
やがて見かね　....

インディアンサマーさんのたもつさんおすすめリスト（9）
タイトル	投稿者	カテゴリ	Point	日付
最終列車	- たもつ	自由詩	8	12-5-15
オーラル	- たもつ	自由詩	2	12-5-14
骨飴	- たもつ	自由詩	6	12-5-8
はがれていく。	- たもつ	自由詩	2	12-5-4
首男（三）	- たもつ	自由詩	5	12-4-30
水平線の犬	- たもつ	自由詩	10	12-4-15
ケイコの場合	- たもつ	自由詩	4	12-4-8
age31	- たもつ	自由詩	6	12-3-24
age30	- たもつ	自由詩	10	12-3-23

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