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夢から覚めると
午後は陽炎の中 寡黙に佇んでいた
翻る あなたの影だけが冷たい魚


見も知らぬ者同士 これが
いつかの夢ではないと言えるでしょうか


ひび割れた心象が決壊する時
 ....
 
 
砂の喫茶店で
椅子を叩いているうちに
夕暮れとなり
列車は少しずつ走っていた

コーヒーのお代わりは半額
けれど労役が発生し
古くからの友だちはみな
去ってしまった

 ....
俺は涙を流さない
なんでもかんでも理由をつけていとおしむのはもうやめにしたんだ
夏色にかわった東京タワーの向こう側に一番きれいな月が輝くカーブで
俺を乗せたバスは大きく左に傾いた
この銀行の角 ....
今、私の目の前に存在するネジを巻いたら
昨日西永福の駅で私に舌打ちをした中年と
再び会えるのだろうか。

もしそれが叶うのであれば
私は迷うことなくネジを巻いて
その中 ....
 
 
空港は閉鎖された
矩形の朽ちた滑走路に 
靴が片方だけ残されている
繰り返される少年たちの空想は 
くぐもった口約束となる
草の葉でくすり指を切ったまま
下り坂を駆けおりる
 ....
大柄な夜が行ったり来たりして
目にうるさいわ
と姫が言う

夜は地球の影だと
どこかの王子が教えてくれた
ならなぜあんなに行ったりきたりするの

小さな頃はよかった
やわらかいお湯に ....
両手のひらから 掬った砂糖をこぼすように
太陽を背中にしょって 始発を待つように
便りが届く
穏やかな風が吹き
背骨がふるえる

思わせぶりを横にやること
厚みを保つ ....
 
 
日記帳、
欄外の余白を縮絨し
つくられた子羊に
錆びた針を飲ませる
わすれられた浜に
とり残された
もろい足跡のように
母の筆跡は、
幾度目かの春で途切れていた


 ....
   {引用=ぼくたちの未来は いつも、さよならで終わっていくの?}


地球儀をまわしすぎたせいで
透きとおっていたものが
濁っていく 
あの日、
チョークで描いた線路が滲んで
二十 ....
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