今日、豆腐は
朝から不在だった
テレビの画面でも
新聞や本などの印刷物でも
その姿を見かけなかったし
豆腐、という言葉すら
出てくることはなかった
妻との他愛もない会話に ....
ワインとビール
こんなところにまでやって来て 一体お前は毎日何やってるんだと言う あれもこれもしなけりゃならない あそこもそこもここも行かなきゃならないのにと言う そんなこと分かっているけどうっ ....
引き出しの整理をしていたら
何かのおまけでもらった
厚紙でできた
ポケモンの
ホワイトボードが出てきた。
それには
未だに消えずに
....
ひとりになりたい
全てを投げ出して外に出たい
窓を開け放ちたい
良い季節が来たことを実感したい
人の手が入っていない自然を捜しに行きたい
そんなものは無いよと告げられたい
それもそうか と ....
ベロニカ
君を裸にしよう
そのシャツのボタンをはずして
ブラのホックもとって
紙吹雪の様にまき散らしてくれ
この四畳半のアパートに
そのスカートを下ろして
ソックスも脱いで
倒 ....
忘れ物を取りに
真夜中
オフィスに向かう
追いかけてくる
警備の人を置き去りに
マスターキーで
ずんずん進む
いかめしい
暗証番号も
全部ぜんぶチャラにして
そうか
....
並木道会話が上手く続かない紅茶を飲んで心温めたい
渋滞に巻き込まれてもかまわない君との時間貴重な時間
薔薇の花色んな色があっていい鮮やかに咲く自分の個性
雪解けと一緒に心の凍り ....
詩を書いた
僕は 一体何だろう
だけど 確かではないけれど
僕は思いを綴っている
そして 会社を辞めた
僕は 今 何者だろう
そんなふうにして 渋谷の街が 今日も
涙の色に暮 ....
いつの間にか
慣れることに慣れたのさ
痛みが鈍くなって
楽にはなれたのさ
だって
あの頃に比べれば
怒鳴られても
バカにされても
お金にはなるし
少しばかりのプライドのせいで ....
冗談を言えるようになりたい
枝を打ち鳴らす風のように
人を笑わせる人になりたい
愛を歌えるようになりたい
地を焼き尽くす野火のように
人の心を燃やす人になりたい
ネズミになりたい
....
眠っていれば見えてくる本当の東京
お前はちゃんと寝ているのか
ちゃんと寝ていないと東京はお前から逃げてしまうぞ
お前のものだった東京が
広がりすぎて、言葉にできなくなっている
お前のものだっ ....
わたしは
ただ
きみと
一緒の
空間にくらしたいだけ
ずっと そう
ただ きみと 一緒の 空間に暮らしたい だけ
中学二年のころから ひたすら それを 願っている
のです が ....
化粧をすると何だか息苦しくてすぐに落とした
(でもあの人と逢う時にはして行くんだ)
マニキュアを塗ると手の仕草が女らしくなる
(でも面倒だから塗らないんだ)
女子がもっともお洒落をする ....
泣けない
女もそこそこいくと
かわいくないのもの
ずしずしっとくるのよ
責任みたいなもんが。
あ
思い出した
仕事失敗して上司にものすごくおこられた
年くってからの言葉が
ささる ....
たとえばすごいといわれるがわから
すごいというべきがわにまわったとして
すなおにいうかというと
いいたくないが
だからといって
なにか
ぶたじみた
たいどを
とると
すれば
それは ....
生あるものすべてに
訪れる【死】
それは公平であるかの様に想える
だが去し方は
安楽もあり
突然もあり
残酷もあり
凄惨もあり
その【死】は
ひとそれぞれ
故に【死】は不公 ....
しろ
はやく
しろ
ぬって
しろ
はいって
甘いシロップはいかが、わしく
ってよ
さびしげな
冬の昼間の
仕事場で
『点け点け点け…』と
唱え
灯した
....
少女が蒼白になって
走って行った
なぜだろう
と振り返ってみると
山が橙と無残に燃えていた
そこに山はなかったはずの
ここは東京の下町のその
はずれ
で、
ふとわれに返ると
....
わたし?
今?
失恋してる最中
諦めきれないんだもの
好きなんだもの
「人間的に好きだよ」
って言われて
「でも女性としては見られない」
って言われ ....
人間はひとりなのだと
思うようにしている
誰かを頼ることのないよう
自分で生きようと努力をしている
私はそうしたいのだ
家族がいても
私の人生は私のもの
一緒に住んでいるからと
....
いつも眠かった
いつも、ひとりぼっちだったから
あなたを好きになって
十四年が経ちました
ずっと好きだったわけじゃない
ちゃんと 恋もしたよ この十四年
いろんなひとが通り過ぎた
優しいひと 意地悪なひと
かっこいいひと 大柄な ....
海老フライが網にかかる
隣の船では大トロが大漁だ
赤身は人気がないので海に離す
いつか大トロになることを願って
畑にハンバーガーの実がなっている
産地に行けば生産者のスマイル ....
いつか見た夢
いくら呼んでも
振り向かない背中
いくら手を伸ばしても
届かない背中
なんだか
すごく現実味を帯びていた
大好きなその背中を
追い ....
遠くを見ると、果てしなく感じて目を閉じた
足元を見ると、崩れ落ちてゆきそうで怖くなった
さようなら
桜の枝が揺れて花弁が零れる時
そんな言葉を耳にする
さようなら ....
テーブルの下に
豆腐が落ちていた
原形がわからないくらいに
ぐちゃぐちゃに崩れていた
世を儚んで
飛び降りたのだ
窓を開ける
初夏の風が吹いて
部屋の中を涼しくする
....
赤い 熊出没注意の看板の右端上に
白い小さな張り紙で「最近」と補足されている
死ぬことより死に方が問題だ
熊に食われるのは天罰のようでどうもいけない
残された妻と子が葬儀の席で困ってしまうだろ ....
「さよなら翠星石」
ああ、この気持ちはあれだ
尊大で高圧的な父が
ある日とつぜん無職になったような
そんで、やっとこさ再就職しても
テレビに出てる生活が苦しい人よりも
高卒のヤンキ ....
夕暮れの電車は 地獄そのものである
真っ赤な夕日をさんさん浴びて
老いも若きも 疲れ切った能面を 血糊で真っ赤に染めている
学生達が大声で憂さ晴らし
卸したてのスーツを着た ....
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