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夜を渡ってくる
飛行機のために
夜毎、灯りがともされる

ここへ舞い降りよと
目印となって誘導する

人はなぜ
夜を渡りたがるのだろう
あかちゃんは
真似っこ上手
わたしが笑えば
あかちゃんも
笑う
ありがとう

あかちゃんは
真似っこ上手
わたしが泣けば
あかちゃんも
泣く
ごめんね

あかちゃんは
い ....
古代飴のような
琥珀の中に
小さな虫が
羽ばたいたまま
閉じ込められている

時が止まったままの
小さな宇宙を
私は
手のひらで
そっと転がして
スイッチをさがす
上り坂が続く

坂道が
「ごめんね、坂道で」
という

ギアなんてついてない
ママチャリですので
傾斜が上がるたびに
スピードが落ちていく
ペダルが
どんどん重くなる
後悔が
 ....
石を高温で焼き
それを鍋に放り込み
作る料理があると聞いて
心が痛む

そんなに
熱したら
石に住む
この子たちは
どうなるのだろう
かあさん、熱いよう、と
泣くんじゃないか
 ....
私は
カラダの中に
海の記憶をとどめておくの
何度
再生しようとも
薄れはしない
漣の音

いつか
愛しいあの人が
私のことを手にとって
そっと耳にあてたなら
懐かしい愛の歌が ....
過ぎ去ろうとしている
冬のしっぽが
白く きらめきながら
川面を流れていく午後
でも
私は
それをつかまえられない

パレットに出された錆びた金色を
時間の筆が
グラデーションを付 ....
ナナという名前だった
もとは捨て猫だったらしいが
いつのまにか 
隣の家に居着いてしまったらしい
すごく立派な面構えで
どこかで外国猫の血が入ったのか
ブルーの眼と
むくむくの銀毛を持つ ....
食パンのみみが
初めて出会う言葉は
まだ星空が出ている時間から
働き始めるパン屋のおじさんの
「上出来だ」の嬉しい言葉だろう

スライスされる前は
全身が みみなので
工房の全ての音が ....
許容量を超えた痛みには
モルヒネを!

彼女にとってのモルヒネは
慰めでも愛でも誰かの保護でもない
背中に彫られ増殖しつつあるドラゴンタトゥーと
顔のいたるところに開けられたピアス

 ....
歩くのに疲れて
たどりついたところに
バスの停留場があった

時刻表に記された時間は
呆れるほどのまばらさだった
古めかしく
ところどころ錆びに侵食されて
そもそもちゃんと
機能して ....
人さし指を 探しています

誰かを指さして
不幸を笑う人さし指ではなくて
指と指の先を
そっと合わせれば
心のバッテリーが静かに充電されていくような
そんな
人さし指を探しています
 ....
世界が
平面だった頃
心にあったのは
数字でした

数字たちは
穏やかないでたちで
私が答えをみつける数式の道々に
ほほえみ
見守るように
友達の顔をして
たたずんでいました
 ....
この箱庭を平和な場所にいたしましょう
雪の下には
クロッカスの球根を植えて
春がくるのを待ちましょう
小川を作り 犯した罪を流してしまいましょう

この箱庭を王国にいたしましょう
くさむ ....
眠っているなんて嘘さ
眠っている時は
みな死んでいる

でも
それじゃ怖いから
眠っていることにしておくのさ

子守唄は
眠りの友達ではなくて
死の隣人だったのさ

死を知って ....
たねは
ねむっている
どんなゆめをみているのだろう

たねが
かぜにとばされた
すこしふあんになってふりかえる

たねのきおくは
らせんのようにつながっている

たねは
たびを ....
私の頭に
時々帽子がぷらりと帰ってくるよ

遠い昔
だれかが
私の髪の毛をくしゃくしゃっと
した時の
あの切ないような感触を
私の頭は覚えているよ

みんな
自分のことだけで精一 ....
子供の頃
古めかしい三面鏡が
部屋の隅にありました

木目模様の板に貼られた
三枚の鏡はそれぞれに
蝶番によってつながっていて可動式でした

普段は折りたたまれているのだけれど
ぱた ....
言葉なんて
なんの役にも立たない夜があった
抱き合った体温が
生きている今を
実感する唯一の術であると
感じた夜があった

舌と舌が出会い
いくつもの嘘を従えて
口腔内で生まれ出た言 ....
今朝も
様々な具材を乗せて
すし詰め電車が
発車していきます

季節は冬ゆえ
暗い彩りになることは
ご容赦いただきます

味は
休日明けゆえ保証します
たらふくご馳走を腹に溜め込 ....
やはり
マグロは天然ものにかぎるなあ
などと
食通を気取る人が言う

今時は
くるくる廻る寿司屋にも
天然ものが
マシーンで握られた
しゃりの上に鎮座している

人間こそ
全て ....
悲しみの蓋は
いつのまにか
ぱたり、と
しまる

しめようと 
やっきになっている時には
その蝶番を
がたがた いわして
頑として 拒否するくせに
ふと気づいたら
ことり、と
 ....
寒いのは苦手です
そう言っておきながら
実は
冬になると 妙に心が安らぐのです

夏の太陽は
いつでも元気いっぱいで
近くに居すぎると
私の中の水分が蒸発していくのが
わかります
 ....
人という字は支え合っている
同時に
人という字は依存しあっている
人ゆえに

どちらが
依存する度合いが多いのだろう
右側? 左側?
一見すると だんぜん左側のようであるが
実は
 ....
{画像=120115084740.jpg}
なにかを磨こうとして
氷柱になった

なにかを磨こうとして
尖った剣になった

強く生きていくには
どれだけ磨けばいいのだろう

強く ....
砂浜に埋めてきたものは
なんでしょう

恋を謳った 小さな貝殻
光なくして落ちた 星の骸
流れ着いた 白い骨
異国の文字が書かれた さびぬれた空き缶

最後に埋められるものは
なんで ....
かがり火が灯る冬の夜
どこかで
誰かが泣いています

寒々とした出窓に置かれた
ピエロのオルゲエル人形
1ミリたりとも動くことはありません
ネジを巻かれたのは
いつだったか
もう思い ....
深呼吸したら
小さな虫まで
吸い込んで思わずむせた
むせて吐いた
吐いて笑った
笑い続けたら
可笑しくて
ついに涙が出てきた

ついさっきまで
悲しかったはずなのに

ほんとに ....
一年の最後に
日めくりカレンダーは
ちょっとさみしげに
でも満足げに
最後の仕事を終えた

一日は
吹けばとぶような
薄っぺらい紙だったのに
過ぎ去ってみれば
こんなに厚い
めく ....
去年
義母が急逝した

晩年
持病で苦しんでいて
会えば
病気の苦しさばかりで
死にたいけど死ねないのよね、と言われると
そんなこと言わないでと
答えながら
鬱屈した気持ちになった ....
たにいさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(34)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
航空灯火- そらの珊 ...自由詩1012-10-23
あかちゃんの頃- そらの珊 ...自由詩7*12-5-1
仮死- そらの珊 ...自由詩17*12-4-27
自転車でいこう!- そらの珊 ...自由詩23*12-4-18
ストーンチャイルド- そらの珊 ...自由詩15*12-4-8
貝の夢- そらの珊 ...自由詩1212-2-27
午後の川辺で- そらの珊 ...自由詩10*12-2-27
Days_of_cat- そらの珊 ...自由詩10+*12-2-25
みみ- そらの珊 ...自由詩26*12-2-21
「ドラゴンタトゥーの女」を観て- そらの珊 ...自由詩5*12-2-20
みちのり- そらの珊 ...自由詩14*12-2-19
充電器- そらの珊 ...自由詩20*12-2-18
小さな友達- そらの珊 ...自由詩6*12-2-14
箱庭- そらの珊 ...自由詩812-2-12
- そらの珊 ...自由詩7*12-2-7
たね- そらの珊 ...自由詩812-2-4
帽子- そらの珊 ...自由詩9*12-2-4
三面鏡- そらの珊 ...自由詩10+*12-2-3
HELP- そらの珊 ...自由詩10*12-2-1
人間巻き- そらの珊 ...自由詩13*12-1-31
人間市場- そらの珊 ...自由詩8*12-1-30
あまのじゃく- そらの珊 ...自由詩9*12-1-28
冬眠- そらの珊 ...自由詩7*12-1-20
共依存- そらの珊 ...自由詩6*12-1-18
round_shape- そらの珊 ...自由詩5*12-1-15
埋葬- そらの珊 ...自由詩10*12-1-12
かがり火が灯る冬の夜に- そらの珊 ...自由詩16+*12-1-10
不幸気取り- そらの珊 ...自由詩11*12-1-7
日めくりカレンダー- そらの珊 ...自由詩7*12-1-5
薄墨の絆- そらの珊 ...自由詩24*12-1-1

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