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17時15分、浴室の混雑が落ち着いたころ
Мさんの髪の毛を洗う
独特のウェーブが水をはじくので
シャワーが頭皮に浸透するように
丁寧に指でもむ
濡れた入浴着が脚にまとわりつく

Мさんが ....
ひみつ
口にもしないから
風も通らずよどんで
古い醤油瓶底のようなそれ

そんなものが胸のすきまに
たまって
口がどんどん重くなる

もう一言も発せないから
すこしばかり目 ....
闇のなかへ祈りをポンと放り込む
どこか奥のほうでぱしゃん、と水の音がする

跳ね返ってくるかすかな水音が
応えなのだろう
それを紐解いたりはしないけど


冷える夜に丸くなって眠る
 ....
2013-02-09(土) 00:25:24



分厚いゴム長。きしり、きしり、足跡をつけ、渡っていく。
見渡せば
たんぼはひろく、白い海原。
とおく、あおくうねる山々。
な ....
線香の白い煙の糸がたちのぼる
追って見上ぐれば
黒い梁から見下ろす遺影の果て
白い路(みち)はほどけてく
おそらく、天上界まで届いたあたりで

夏は喪のシーズンだ
祖霊が帰り
私も帰り ....
こどもの手をにぎって
「あたたかいね」と言う。
「つめたいね」と言われる。

わたしが「あたたかいな」と感じたら
あなたは「つめたいな」と感じている。

いつもそうやって温度差があり
 ....
熱湯を浴びたあと
綺羅綺羅しくこおりが浮かんだ
キンキンな水に投げ込まれる。
いちばん色鮮やかで、歯ごたえのある状態でとまる。

サッて血が昇って(顔が熱い!)
サッて血が落ちる。
わた ....
眼鏡をはずし
目の前を水中に沈めれば
外灯は滲み
ひとびとは陽炎になって
せかいはちいさくちかく、まるくなると
おもっていたけど
無限のひろがり

おとこもおんなもなく
泳ぐような身 ....
なつが来た。
皮膚が湿気を吸って、すーはーすーはー、酸欠の金魚並みに汗をかく。
自転車をこぐ。

なつが来たんだ。
虫除けスプレーの薄荷の匂いが、さわやかで
冬の渇わいて縮んだ、ゴム皮膚の ....
舟を漕ぐ。
昏い水面。
舳先の灯りに、身をよじるさざ波。

ぐっと櫂を引くと、私とおなじ力で、圧し帰してくる
水の確かな、手応え。

立ちこめるミルクの霧を透かしても
目指す岸辺がどこ ....
熱がない。
みぞおちのうえ辺りを、すぅすぅと風が通り
だいじな「おくそこ」が冷えきってる。

熱がなく
あまりに冷えているので
ぼくは永久凍土で冬眠にはいってしまう。

一千万年あとに ....
胸骨のなかが冷え込むと
やはらかき草のうへに横たはり
全身の痛点を耳にして
よみへ続く覆水の
砂礫に混じる星屑が
ふれ合う金属的な響き
を聴きつつねむる。

*

その響きは
地 ....
あなたがあなただと、わたしに知らしめるもの
それはなに?

もし、
あなたの貌かたちが突然
変わってしまったら
わたしはまったく気づかないのだろうか。
あなたがわたしを見つめても、少々の ....
あなたのせい
と、言わないのは やさしさ
と、じぶんのおへそに
言い聞かせていた
けれど
これは プライド。
わたしがわたしでわたしの重みに耐えるため。

**

日付が変わる直前 ....
運命線がないんだね
ってだいすきなあなたに
言われたので
なんだか、無性にうれしい。

つまるところ
わたしの指には赤い糸がないので
わたしとあなたは運命じゃないし
前世の行いのせいじ ....
あなたの胸に、耳をつける。
はらはらと
降りつもる、ゆき。
さいげんなく現れる、ぶあつい雪片。
あなたにふれた手のひらが、やはらかく折り重なり
何層にもなってゐる。
ぼくのも、知らないひと ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
それぞれのかたちの- 凍湖自由詩725-5-1
ひみつ―澱- 凍湖自由詩524-12-18
まどろみ- 凍湖自由詩824-2-3
冬に- 凍湖自由詩217-5-14
シーズン- 凍湖自由詩5*15-9-3
手の温度差- 凍湖自由詩16*13-10-17
色止め- 凍湖自由詩5*13-9-15
近視の夜歩き- 凍湖自由詩1013-9-3
なつが来た。- 凍湖自由詩113-7-3
舟を漕ぐ- 凍湖自由詩5*13-6-10
ここはカフェのソファ。ミルクティーを飲みながら- 凍湖自由詩213-5-9
全身の痛点を耳にして- 凍湖自由詩413-4-29
あなたが蛙になっても- 凍湖自由詩113-4-19
魚に- 凍湖自由詩413-4-18
運命線がない- 凍湖自由詩5*13-2-26
ふる雪のそこに- 凍湖自由詩10*13-2-24

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