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ある冬の朝、飼っていた鸚哥が死んだ。
ちいさな黄色の、頬がほのかにあかい鸚哥。どのように出会ったのか思いだせない、な
ぜ、いつからここにいるのかさえわからない、物心ついたときには当たり ....
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彼女が不可思議な行動を見せるようになったのは僕たちが同棲をはじめてから数ヶ月ほど経ったころだった。ある朝、肌を逆撫でるような寒気に目を覚ますと、あけっぴろげにされた窓からあざやかに ....
そら、
は、あおく、
青いと、わたしたちがそう錯覚、
する、けふ、は、
やさしい、暴力に浸され、
事後の、咬傷から、首都圏が溢れ、
ています、」
(ここにはまだだれも認識からはぐ ....
かなしみをうつくしく飾っておくために
かなしみのかなしみという蓋をそっととじて
ひとりのわたしは
それを花冷えの野に埋める
たとえ
きのうのわたしがそれを掘りかえしても
もうそこにはわたし ....
●ring
青い花が好きだった赤い少女が白い文法の群生する野原を駆けていく夢を見たんだ、と、洩らした傍らの友人は墨のように真っ黒でなぜか直視できない、明け方の浜辺、打ちあげられた魚たちが至るとこ ....
ですから、
ね、
あらゆる、
「わたしから飽和するわたしたちよ、
もうここには語るべきことなどありはしないのです、と
語りはじめる卑怯をおびやかしてください、
かなしいほど ....
いくつもの季節が血を流したあとで
しだいにかたむいていく水面の
ひたむきさばかりを空白に浸して
そうして
ここに
たくさんの誤謬が積もったら
それはとてもうつくしいことだと
ひとは言うの ....
未明。雨が降っている。殴り付けるような強い雨だ。風は森の木々
を蹂躙しながら北へと向かう。雨だれを引き連れて。しだいに厚い
黒雲がうっすらと明るくなっていく。森のあちこちには輪郭のぼや ....
ギムナジウムの罅割れた唇を
なぞる人差し指は青い血にまみれて
この細い裏路地の影のなかでわたしたちはやがて
交わさぬことの愛撫を識り零れていくのだろう
返される砂時計が凍えた額のうえに置かれ
....