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櫓が曇天を衝き
提灯を揺らす矢来を抜けた夏の風
私の売った腎臓が
二度と郷里を求めずに
祭りの後は火薬のにおい
祭りの後は寝台車のにおい
何かになった私は
私になった何かにな ....
底に沈む写真を拾いに
多くのひとが海に潜る
千切れた髪を集めたひとは
烏賊に
折れた指を集めたひとは
海星に
破れた耳を集めたひとは
貝に
余った骨を集めたひとは
蟹に
....
明日は雨が降るらしいから
ぼくたちは油膜のなかで会うことになる
日ごろ閑古鳥の鳴く裏町も
雨になると人が増えるから
いつもより約束は固くしておく
約束なんかしなくても
導かれるのが運命なん ....
思い上がれば月初め、
寝かしつけた二人の猫に
子守唄は要らない
朝の詩人と夜の詩人を繋ぐ
一条のペンのかげ
かすりもしない韻律を
丘の風に送って
レトリバーがおもちゃに飽くように
ニュ ....