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足を止める人もなく
振り返る人もなく
木枯らしが吹き
彼は消えた
いいことがあった日
なかった日
落ち込んだ日
浮かれた日
いつもの時間
いつもの場所
なんの関わりもなく
いても ....
牛丼屋のテーブル席に
五十代だろうか
白髪の目立つ
作業着を着た男がふたり
瓶ビールを傾け
手話を交え
語らい合っていた

通勤時
駅のホームで
脚の不自由な
母親くらいの女性を ....
外はまだ暗い

風はないらしい

木々の揺れる音もなく、ただ

規則的で優しい雨音

世界の静寂

僕の孤独が浮かび

街灯の足下でアオガエルが思案していた

天気予報、雨 ....
思いは言葉を越え

沈黙は時空を越え

満ち足りた月と

つぎはぎだらけの僕の満身

寒風に洗われる

僕の心は月光と暗闇とに抱かれ

投身

光と闇とを纏い

朝の来 ....
寒いほどに

清々しい

凍える冷気

眩しい朝日

目を見開く

静謐の中

生命が凛とする

こんな朝もあるのなら

生きていける気がする
悲しみの

怒りの

境界線

を踏み越えず

誰に訴えることもなく

押し黙って生きる人

生きることの

ぎりぎりの場所で

踏みとどまっている人

見知らぬそ ....
ときどき

形容する言葉ひとつ

思いつかない

落ち込む

ただ 落ち込む

慌しさの空白に

ふと気がついたとき

落ち込む

とことん 落ち込む

どんどん  ....
自分が

無から有へ

遠くからここへ

暗がりから

まばゆい場所へ

運ばれてくる

冷気を浴び

染みわたる

熱い珈琲

おはよう

おはよ
羞恥心と

顕示欲が

屋根裏部屋で

痴話喧嘩

悲鳴と

吐息と

自分の業が

転がってって

床がきしんで

いのちがいまに

抜け落ちそう

瞳を ....
くたびれたスーツに

アルコールの臭気をまとい

頭髪はやや薄く

終電近くの電車に揺られ

汗の浮いた首を

大きく揺らしている

悲哀を帯びた

男と女

最寄り駅 ....
路面



ボンネット

木々の葉

草花

僕の手のひら

あらゆるところに降り注ぐ雨粒の一粒一粒が

耳を澄ませると

万別の音階で

声色で

思いで
 ....
この身体には阿鼻叫喚が渦巻き

時には槍吹雪となり

体内から世界へ

精神の切れ端が乱射されていく

僕と世界は絶壁に阻まれ

と、確信していて

なのにふと

世界に溶 ....
コーヒー飲んだって

飲み屋に行ったって

言葉にならなことが

言葉にしたいことで

言葉にできないから

詩を書いたりするんだよ。

誰に ではなく

誰か に。
人生に放火して黒焦げになった

うつろな影をひっつけてずるずる歩く

酸いも甘いもあいまいだ

夢も希望もあいまいだ

焦げた歴史がべりべりと剥がれ落ち

心の暗黒だけが確固として ....
書けないので

書けない と書く

窓の外の嵐のように

こころは散り散り

渦巻いていて なのに

何ひとつ浮かばない夜

言葉を失って

無言のままにのたうちまわる
 ....
かみさま
ねえかみさま
こちらへいらして
お食事ご一緒しませんか
あなたの哀しみと
ぼくの哀しみ
車窓を流れ去る町々に物憂げな視線を送る

焦点は景色の向こうで結ばれているようだ

トンネルに入ると車内が暗がりに浮かんだ

どこかの窓が開いていて走行音が反響する

彼女の瞳が一瞬だ ....
夏に焼かれた街を労わる雨音

一粒一粒、世界に触れ、砕け

私の胸を静けさに連れていく

夜、ひとり聞き入るこの音に

なにもかも許された気がする
君がなにかTVの話をしている

脳に注がれる曖昧でぬるい声色

もっともらしいことを言うので

もっともらしく首肯してみせる

君の紅茶がおいしいのは不変だ

いつもの紅茶が口腔を ....
なんにもないのが嫌で

空疎な行為を義務化する

一文字

次にまた一文字しるし

空白をうずめて いく


自分を生き埋めにして

いく みたいだ

苦しいけど 中毒的 ....
泣きたくたって泣かない

笑いたくもないのに笑う

言いたくもないことを言い

言いたいことは言わずにいる

その哀しみから逃れるために

僕らは今夜、旅に出る

言葉なんかい ....
遠い遠いあの月を

強引に引き寄せて

無理にでも抱き寄せて

眠りの深い底まで

落ちていってしまいたい

待っているんだ

あの闇のもっと先に
酒を飲むのと

書くのとは少し似ている

ひとりでこうして書いていると

波立つ胸が落ち着いていく

秋の夜風の優しさに

油断すると涙こぼるる

誰にも知られることのない
 ....
ただのみきやさんの三田九郎さんおすすめリスト(53)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ストリートミュージシャン- 三田九郎自由詩112-11-25
つまらないおとこ- 三田九郎自由詩3+*12-11-20
アオガエル- 三田九郎自由詩312-11-11
投身- 三田九郎自由詩2*12-10-30
- 三田九郎自由詩512-10-26
境界線- 三田九郎自由詩412-10-25
落下傘- 三田九郎自由詩2*12-10-25
モーニングコーヒー- 三田九郎自由詩312-10-24
屋根裏- 三田九郎自由詩112-10-23
宴のあと- 三田九郎自由詩312-10-18
音階- 三田九郎自由詩7*12-10-17
角砂糖- 三田九郎自由詩2*12-10-4
宛先- 三田九郎自由詩5*12-10-1
黒焦げ- 三田九郎自由詩7*12-10-1
慟哭- 三田九郎自由詩212-9-30
晩餐- 三田九郎自由詩212-9-28
黒髪- 三田九郎自由詩212-9-25
雨音- 三田九郎自由詩412-9-21
落日- 三田九郎自由詩112-9-14
M- 三田九郎自由詩112-9-13
逃避行- 三田九郎自由詩2*12-9-10
ダイブ- 三田九郎自由詩212-9-10
再生- 三田九郎自由詩2*12-9-7

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