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埋葬される私の胸に
日記帳がのせられていた
長い乾期が始まり、色褪せた紫丁香花が
垂れ下がっている
台風を待てば故郷は救われる
そう言って村人をつなぎ止めた
かつての独裁者の像が見下ろ ....
ここにいる私たちで
家族になりましょう
名誉も財産も忘れ
森に帰りましょう
温かいまなざしで
老婆の名を呼ぶ
海鳥の群れ
古く錆ついた甲冑を身に纏い
胸当てに薔薇を差した老騎士 ....
あなたを無人島に閉じ込めたい
それだけ
私は家に帰って
当たり前の生活に戻って
時々
無人島にいるあなたのことを考える
その塔は永遠に近い高度だった
人々は街を作り
補給点をつなぎながら
天を目指した
何世代も
何世代も
いつしか
塔外部の螺旋階段から
地上は見えなくなっていた
足もとに広がる空を ....
使い古された財布が
波打ちに漂っていた
誰かの落とし物だろうか
それとも海に帰したのか
迷いながら通りすぎた
次の晩
そこを通ったとき
もう財布はなかった
満ち干にひきとられたのか ....
きみは髪留めをもらった
母からの誕生日プレゼントだった
青と赤のガラスを
茶色のゴムがつないで
ゆらせばカチカチと
きれいな音がした
きみは毎日それを
学校につけていった
アメリカ ....
私は蜜を吸い
毒蛾になって
篝火に
吸い込まれた
新芽が風にゆれ
幹を雨がつたい
葉を透明に照らす
枯れ散り重なり舞い
枝は背に雪を積む
折り畳んだ歳月
木を切り
ツタを編み
手作りの桶で海水を汲み
海を分解する
砂にまみれた
翳す手を開いて
太陽を分解する
人に触れ
体温を奪い
鉄を赤く燃やす
陽が落ち闇の中
手 ....
会いにいけば会える人に
会わないまま人生は終わる
会いたいのに
どうしてそんなことに
なるんだろう
家に帰ると
種をとる用に買っておいた
300円のトマトを
流しの前で ....
母は肉体と魂が徐々に離れていくものだと言った
こうして話をしているときにも
食事をしているあいだにも
離れていくのだと
だから私たち姉妹は
祈りはそれを遅らせるものだと思っていた
不思 ....
池の彫像が凍り
ダイアモンドの降る夜
人々は平等に薔薇を持ち
生と死にかわり
玄関前に立っている
その問いに
正しく答えることはできない
そのまま立ち去ることも
できない
....
モールの画材屋で
ホルベインの水彩セットを買った
施設に行くと
祖母は食堂のテーブルで
ニンニクの皮を剥いていた
お誕生日おめでとう
リボンをつけた木箱を渡すと
高かったでしょう?10万 ....
私と同じ眼をした明かりが
灰色の空を照らしていた
誰もがそこに立って諦める場所で
タンゴのリズムを踊った
同じ眼をした種族が
現れては消える
幻視
右のまぶたが痙攣して
彼らの信号 ....
春を追いこして夏のような
日射しを避けて
市内の茶屋で
みたらし団子を食べながら
足下の干涸らびた蛙に
水をもらってかけてやると
おどろいてちょっと跳ね
またノシノシと戻ってきた
残り ....
水族館の水槽を見上げていると
星々が落ちてきた
魚たちは群れとなり
あるいは一人で泳いでいる
まるでそんなことは
ないかのよう
ねえ、これが星の海だとしたら
海の下はなんて呼べばいい ....
ネコの伸びをすると
あちこちから音がした
使ってあげられない身体の
内側からノックされてるみたい
でもね
ギプスがないと歩けないし
眼鏡がないと明日がみえない
....
人間を圧縮すると
すごく小さくなるんだよ
と聞かされたとき
彼女は宇宙を感じた
人間を材質に分解すると
10ドルにもならないと知ったとき
なぜか
アンドロメダのことを考えた
愛 ....
古い洗濯機が回る
脱水の力はもうない
母親が捨てるのはもったいないから
おばあちゃんちに持って行って
花壇かエコカプセルにしましょうと
言ったから
春になれば
それらしく緑になる ....
眠る月
きみは銀河に浮かぶ
きみは灰
月の興味を失う
わたしが泣き出すと
姉は自分の手のひらにエノキさんを描いて
「もう泣きやみな」と言った
エノキさんは森の木こりだった
中学にあがったとき
両手にマニキュアを塗ってくれた
わたしは水色の ....
いつ死んでもいいよねと
得意げに話してる友達と私は
まだ動けるうちにと
世界旅行を始めた
最初は紙で
それからインターネット
英会話にワクチン
パスポートも更新した
いつ死んで ....
百年がすぎて
私が石になっても
旅は続けられるだろうか
儚いまま、知らないまま
世界に沈んでいく
きみはもっと遠くなるだろうか
ただのみきやさんのmizunomadokaさんおすすめリスト
(53)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
つち
-
mizunomadoka
自由詩
1
12-8-10
heartbeat
-
mizunomadoka
自由詩
3
12-8-5
lust
-
mizunomadoka
自由詩
2
12-8-2
迷宮
-
mizunomadoka
自由詩
3
12-5-28
財布
-
mizunomadoka
自由詩
3
12-5-23
prominence
-
mizunomadoka
自由詩
2
12-5-19
灰
-
mizunomadoka
自由詩
2
12-5-6
wisp
-
mizunomadoka
自由詩
2
12-4-30
原初
-
mizunomadoka
自由詩
2
12-4-26
40人くらいに
-
mizunomadoka
自由詩
5
12-4-25
Jes
-
mizunomadoka
自由詩
7
12-4-21
問いかけ
-
mizunomadoka
自由詩
5
12-4-10
四水園
-
mizunomadoka
自由詩
6
12-4-8
might-night-sight-light
-
mizunomadoka
自由詩
3
12-4-3
日陰
-
mizunomadoka
自由詩
6
12-3-26
星の海の底
-
mizunomadoka
自由詩
4
12-3-17
もうすこしまって
-
mizunomadoka
自由詩
1
12-3-10
後悔しないように
-
mizunomadoka
自由詩
6
12-3-4
春になれば
-
mizunomadoka
自由詩
2
12-2-28
十字架のクレイドル
-
mizunomadoka
自由詩
1
12-2-28
姉の魔法
-
mizunomadoka
自由詩
10
12-2-20
off_the_window
-
mizunomadoka
自由詩
1
12-2-14
花よりも
-
mizunomadoka
自由詩
1
12-1-9
1
2
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