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欠けたカップを握る
懲りずに思い出していた
ちょっといいガテマラを買ったのに
ちょうどいい自販機で買った缶コーヒーを
彼はベランダで飲み干した
あの昼の滲みが窓にうつる
....
紙の世界でコーヒーを淹れたい
記憶の断片がいまさら燃え上がる
繊維質の砂漠の中
雨で崩れる家
家具はライターで焼けてしまう
崩れても逃げ遅れない
折り紙ですべては元 ....
焦りと不安が狂わせた
備えという名の独占
街から安全な水が消えた
走り回るのは血眼の乳母だ
理不尽がまた増えた
臨界点の明滅をみる
なにもできないままで
空の ....
生まれた時から軋みを聴いている
トンネルばかり走る列車の足音だ
時々思いがけない景色が見えて
映した窓を切り出しては
懐かしい無人の駅に送る
随分と乗り換えないでここまで ....
雨が止んでしまった
スカートを木洩れ日に見送る
過程にニヤけそうな日
ベタな健全がどしゃ降りになる
白いドレスの誇大妄想
家庭という傘をさすには遠いだろうか
....
指針を欲しがっている
根を張った知識をえぐる
本であふれかえった戦場で
今日も血は流れない
天才と狂人の言葉を
おそろいに犯された
こどもたちが借りる
....
空が白むのを眺めている
朝より早く夜が終わる
どこかにひとりでいる君
目覚ましはもうない
諦めの塔の頂上の
はがれかけの立て札
同じ ....
枯れ急ぐ葉が、視界を埋める
踏みにじる赤い葉
流れないイヤホンを外さない
電柱を揺らす、紫の鳥
街から秋が消えた
降ってきた白い朝
黒ずんだ部屋の窓
....
知らないところにはすでに
夢をみたりしない
傷跡からは、もう
記憶をたどらない
早熟の振る舞いにはじきに
合点がいったよう
逃れる方法を、こう
明日も咎められるまで
涸 ....