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世界の無数の先端にある
歴史の新芽を摘みとってきて
言語の無数の先端にある
事実を手際よく料理して
一束の作品が今日もポストに届く
新聞は根底的に潤っている
どんなに乾いた悪意が記されてい ....
大地に濡れ
人を買った経済よ
お前はただ無限に略取されればいい
海の押し寄せる血管に
人の声は明け渡され
法規の群れが押し寄せる窓辺に
季節はその最後の一塊を溶かす
ほろ、ほろと
耕さ ....
同じ画面に収まった二人は
時間をたくさん間違えているし
空間をたくさん間違えている
数限りない間違いの果てに
取り返しのつかない勘違いの果てに
この小さな画面の中
笑顔の二人がいる
落日の量る太陽の重みを
その身の上に遊ばせて
女は隠れた感情に名付け始める
喜びも悲しみも薄く展開していき
愛は少しずつ輪郭を明らかにする
女は陽射しのパンを食べ
風の美酒を飲み干 ....
幾重もの色彩に包まれて
女は刻々と移ろう季節を呼吸する
命がさめざめと血を流した日に
女は故郷の水を潜った
命が新しい命を噴き出した日に
女は異郷の火をまとった
すべてがくだらなく ....
儚い朝が閉ざされるとき
女はいっとき獣の眼をあてがう
陽に刻まれた木立が炎めき
虚構の大地が海を覆う
女は起き上がり服を着る
色彩のために、空間のために
女は山から産まれた
山の ....
いまだ存在しない土地へと僕らは向かっていた。その土地の存在を証し立てるのではなく、その土地を僕らが新しく構成するために。電車は鉄化した巨大な鳥のように、地面すれすれの低空を飛ぶ。僕らはいつも二人で .... 骨格を取りまとめる不動の骨格に君は宿っている。君の読む本の文字は四方八方に飛び散り、喫茶店の壁の地味な装飾となった。君の微笑みは複雑な言語で、難解な文法と神秘的な意味を持っている。喫茶店から喫茶店 .... 灼熱の車、アスファルト、建物
灼熱は水のように重く、辺りを濡らす
この駅だけが閉ざされていて
世界はここで終わっている
人間の悦びだけが影を落とし
人間の欲望がこんなにも焼けている
そんな ....
雨が空白を叩いている
どんな些細な出来事にも空白があるから
雨は一つずつ出来事を鍛えなおしている
雨がわずかに氷へと移ろうとき
雨は人間の核を打ってくる
だから人間は家に引きこもりな ....
巨大な沈黙が降り注ぎ、忙しなく部分同士が交信している大地は惨劇に見舞われた。大地には至る所に中心があり、そこから水平線や勾配が限りなく伸びていき、無数の表現を作り出していた。大地が低く降りていくところ .... 毎日ダンプが多く通行するため
国道6号線には亀裂を修復した痕が無数にある
堤防を作る工事や道路を作る工事
ほ場を整備する工事や水路を整備する工事
至る所で重機が働き
朝早くから除染作 ....
旅立つ日には
一つのメロディーが流れている
旅立つ日には
何かが必ず終わるから
僕らは故郷を持たない
僕らは故郷を探さない
故郷への渇きだけを持ち続ける
旅立つ日のメロディーは
 ....
葉が一斉に飛び立ちそうな
雨に濡れた朝
闇がかくれんぼしているので
一つ一つ見つけ出して行く
鳥が破裂して鳴き声として散る
そのたびに朝は時刻をよろめかせる
雨の音には距離がない
雨 ....
僕たちは路上で生まれた
真夏の焼けただれた
豊かな道路の上で
乾いた轍だらけの道路は
遥か彼方へと肢体を投げ出して
欲望を沸き立たせていて
いつだって娼婦の顔をしている
僕たちは ....
羽ばたいていく緑の葉たち
大きな坂の源にはくちなしの花
過ぎ去った漂泊の日々は今もよみがえり
労働の岩肌を静かに洗っている
欲するものはほんとうに欲されているのか
判らずとも雲は精密 ....
 それぞれの詩人にはそれぞれの言葉の個人史がある。詩の中で用いる言葉は、かつてどこかで自分が書いた別の詩の中でも固有の位置を占めていたものである。例えば「水」という言葉をかつて別の作品で用いたとする。 .... どしゃぶりのように一日がはじけ、次の一日へと突き当てる船首を送り出している。葬られた市街地にはダンプの轟音が反転し、除染作業員は冷たい海を交換し始める。この一年間はいずれ無限に回帰し、そのたびごと .... 生まれてきてからこれまでの
血の成長を袋に詰める
明日には収集車が焼却場に運んでいく
つい最近知り合ったばかりの
知遇を本棚にきれいに並べる
いつの間にか本棚はいっぱいになった
拠 ....
人のいない真昼
都市は連帯に悶えていて
都市の配管の末に一滴の誓いが芽生える
真昼の誓いは沙漠へと向かい
死の永続性を砂に誓う

涸れ果てた湖を
野獣の群れが飛び交っていく
無限に ....
                 ――F.T.へ

君はとても複雑な静止画の連なりだった。複雑な君を愛する人は、きっともっと複雑な、例えば自然美の移ろいのような人なのだろう。君たちが複雑さを映 ....
冬の路上を渉猟しながら
過去とはじめましての握手をする
今日初めて自分の過去と出会って
すぐさま慌てて別れたのだ
外気と同質の寒さを体内に抱えているから
私の中に冬は柔らかく広がって ....
時間が感覚している
巨大なてのひらが極めて薄くなり
眼を開く刻限を探っている
仏は舞い散っては脱皮して
柱を支える土壌に滲み込んでいく
空間が覚醒している
門の内と外は色濃く混じり合って
 ....
修辞によってつくり出され
きめ細かな大理石の皮膚をまとった
限りなく長い腕の先端に
人々は指めいている
運命という不屈の氷河が
瞬間ごとに掘削されていく中
人生という虚構の神経束は ....
君の姿を初めて見たとき
君の顔は白く固まっていた
初めましてのあいさつが遅れたね
僕は君の叔父さんだ
安らかに眠るといい
眠るために生まれたんだよ
君はきっと
君の顔は美しく化粧 ....
季節は構成されるものではなく
分析されるもの
世界中のすべてを持ち寄っても
季節を作り出すことはできない
ただ季節は解剖され
一人一人に細かく感知され
小さく分析されていくのみ
 ....
銃身の鈍重さを仮装しながら
銃弾のようにすばやく生きるのだ
この秋の穏やかな一日は
最大限の速度で組み替えられていくから
この君の静止した生活も
信じがたい高速で雑踏に埋没していくから
 ....
夏の間中じっくり眠り込んでいたものたちが
大地をぬぐうように冷たい夢を放ち始める
夢とうつつとが激しくこすれ合う中
秋の虫たちは生まれ秋の草たちは伸びる
夢が散り散りになって燃え果てていく ....
浅い息の淵をたぐって、人混みのほどけた場所へ、同じハッピに同じサンダル、出場の順番を待って、盆踊りの夜は凍える。アルコールの傾斜を滑り、秩序や光が失われる場所へ、根源的な連帯が訪れる瞬間へと、 .... 転勤してから3か月が経った。仕事の質も量も変わったし、生活環境も変わった。それよりも、私は詩をあまり書かなくなった。インスタントに詩になる題材などいくらでもあるのに、それは言葉として、表現とし ....
ただのみきやさんの葉leafさんおすすめリスト(170)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
新聞- 葉leaf自由詩220-4-2
律動- 葉leaf自由詩219-9-28
ツーショット- 葉leaf自由詩419-9-1
- 葉leaf自由詩418-9-25
- 葉leaf自由詩118-9-23
- 葉leaf自由詩318-9-18
滝へ向かう- 葉leaf自由詩218-7-30
喫茶店から喫茶店へ- 葉leaf自由詩318-7-13
焼け焦げた駅で- 葉leaf自由詩218-7-4
秋雨- 葉leaf自由詩217-9-18
復興- 葉leaf自由詩117-7-17
傷ついた土地で- 葉leaf自由詩317-6-9
旅立つ日には- 葉leaf自由詩317-5-31
雨の朝- 葉leaf自由詩417-5-16
路上- 葉leaf自由詩217-5-5
崩落- 葉leaf自由詩217-4-24
言葉の個人史- 葉leaf散文(批評 ...517-4-12
年度の終わり- 葉leaf自由詩217-4-9
掃除- 葉leaf自由詩317-3-29
誓い- 葉leaf自由詩817-2-13
祝婚歌- 葉leaf自由詩317-1-31
冬のうた- 葉leaf自由詩217-1-22
寺院- 葉leaf自由詩416-11-20
演技- 葉leaf自由詩216-10-31
葬儀- 葉leaf自由詩816-10-22
季節- 葉leaf自由詩316-10-2
銃弾- 葉leaf自由詩216-9-25
秋のはじまり- 葉leaf自由詩316-8-29
表裏- 葉leaf自由詩316-7-24
沈潜- 葉leaf自由詩116-7-9

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