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つめたい自転のひだひだから風のたましひもきつくかたより
{ルビ伯林青の=ベルリンブルー}それのだまつて行き過ぎるさまは何だ。
とても九月の心ない祈りやみづつぽい敬虔の
能くす ....
{引用=(*昨年書いて現フォに投稿せず忘れていたもの。アーカイブ目的で投稿。石村)
}
しつこい梅雨が明け
夏がはじまつた
はず であるのだが
ひさびさに傘を持たずに
散歩なん ....
どうでもいいぢやないか
それは君のくちぐせであり
ぐうぜんにも 君からきいた
さいごのことばでもあつた
ひと月まへ 一緒に飲んで
別れ際にきいた いつものせりふだ
その前に何を ....
{引用=春の宵
巨人の足あとに水が溜まつてゐる。
ここからは月が近いので自転車で行かう。}
{引用=(二〇一八年四月十八日)}
昼下がり
どうにもな ....
花瓶の近くに置かれた姉の唇が燃えてゐる。
うす紫色の炎が小さく上がつてゐて、読んでゐる文庫本に今にも火が移りさうだ。
目を細めて見ると、表紙に「菜穂子」と書かれてゐた。
....
くらい 翼をひろげて
古い調べから とほく紡がれ
凍てついた 水を恋ふ
しづかな もの
ひとの姿を 失つた日
ひとの心を おそれた日
雪を待つ 地へと降り立ち
ひそや ....
お月見
少女は青い服を着て
ひと晩ぢゆう恋文をかかずにゐた
姉さんの形見のコーヒーカツプに
月をうかべて
{引用=(二〇一八年九月二十五日)}
....
いつぽんの川がながれてゐる。
川べりの道は夏枯れた草に覆はれてゐる。
川はゆつたりと蛇行して その先はうつすらと 野のはてにきえ
太古の記憶へとつづいてゐる と村びとたち ....
誰が私に声をかけなかつたのかわからない。
葱の花がしらじらとした土の上でゆれてゐる。
その下に妹の骨がうめられてゐる。
捨ててしまはなくてはならない。
丘をこえて夜 ....
{引用= The Evening Prayer}
だんだんみじかくなる
{ルビ滴=しづく}よりも
もうきこえません
うけとつてく ....