僕はラット
科学とやらに
利用され
数字になって
グラフになって
それでも名も無く
ひとつのすてごま
モノを扱うヒトの手
神の手
ヒトでもモノでも
ない命として
ガラス箱 ....
どんな窓にこんな猫がいるのだろう
忘れもしない通った白い家の窓辺で
まどろむ幸せが充ち満ちて
目を覚まさないようにと
やさしく襟元に、毛布を寄せてくれる手は
だれのものなのだろう
いつ ....
死んでしまえば
もうメタセコイアの木は
見ることが出来ません
誰かと探した夜明け前
忘れられない崩壊音
君じゃなくても良かったと
誰かが教えてくれていた
さよならさよなら愛しい劣等
ありがとうも言わないよ
それだけ君は近すぎて
言葉じゃ ....
つきぬける空の青さにたえかねてアゲハの羽の黒を目で追う
向日葵の迷路で迷っていたいのに背がのびすぎて出口が見えた
けだるさの中の憂いに抱かれようサラが歌うはサマータイムか
....
光が速度をはやめて
影をうみおとした
次の瞬間 車窓からの景色は、融けあい
流線の模様をなした_
ユ−ラシア・ライト・トレイン
光速の旅は、心地よく
重力抑制された コンパ−トメン ....
珍しく気分を変えて
新宿のバーで独り飲む
バーボンのロックを傾け
タバコに火をつける
立ち昇る紫煙の向こうに
忘れた恋の景色が見えた
夏は
エアコンを入れるせいか
気づくと
ガソリンメーターの残量計が
あとわずかということがある
ランプがあとひとつというのは
かなりアセル状況で
近くのガソリンスタンドで入れていこうか
....
あなたと二人
見上げる最後の花火が消えて
暗闇に抱かれたまま
星空に私は願う
この一瞬を切り取って
すべてが止まればいいのにと
100万年後
アルタイルの科学者が
とんきょう ....
人と会話をするということがとても怖いという時期が私にはありました。ちょうど高校の頃だったと思います。そうしたときに私の友達といえば、同じような病を抱える人々であったのかもしれません。まあ、そんな人 ....
ぼくは麻酔類の効かないからだのようだ
25歳の時に盲腸の手術でそれを知った
局部麻酔なのにいつまで経っても
まったく麻酔は効きはしなかった
オペの開始を待っていた医師は
業を煮やして ....
あなたへ直線をひけないので
円をかく
今日も円をかく
ちりとりのゴミを玄関の外に捨てると
蝉が羽化に失敗して 転がっている
またか
この時期 たまに見る
壁によじ登っては 落ちる 蝉 とんぼ
ぐちゃぐちゃに柔らかくて 体に触れない
死 ....
知恵の輪は2つでひとつお互いの隙をかさねて溶け合ってゆく
陽を透かし夢幻の彩を紡ぎだす色無き二重はカゲロウの翅
夢にむかう列車を乗せた二本線つかぬはなれぬ轍のこころ
....
めまぐるしく変わるのろーてーしょん
さっきギターかかえてロックンロールやってた
双子のH兄弟は
O嬢と合流してみずみずしいあたらしい恋ものがたり
あたしは遊園地の遠心分離機でぐるぐるの目眩 ....
目が合うだけで
こんなに苦しい気持ちに
なるってこと
初めて気付いた
でもそれ以上に
嬉しかった
開け放した窓から
打ち上げ花火の音がする
電気を消せば
いくらか冷たくなった夜風が
日中の暑さを癒してくれる
ここに蚊取り線香があれば
昔の私に戻れるかなぁ
....
一日二十四時間声帯をチャック
虫歯の家並みを素通りして
歯肉炎のプロムナードをさまよう
伴走するアベニューからは
「時」に螺旋をえがく
赤い「風」のサイレンと
「空」に山彦をひろげ ....
蔓延っている
筒抜けている
燻ぶっている
こりゃ正に混迷
{ルビ捩=もじ}ったトラウマ
ひん曲げた童心
格式高いサイレンス
そりゃ実に滑稽
結構結構コケコッコー
愛憎ジレ ....
否定と廃頽の中
私は肯定のあなたに出会った
あなたは無数の「ノー」をいとも簡単に
「イエス」へと捻じ曲げる
あなた自身がたった一歩、前に進む事によって
つかみどころのない
微熱にうかされたみたいな
深刻で他人事のような寓話が
ぼくの星の王子様だ
ちいさい頃読んで
ぶ厚いハードカバーの絵本なのに
絵が白黒だったり ....
メジルシが多過ぎる街を
さまよい続ける男は
メヂカラが強過ぎる小悪魔に
あっさり魅入られて
メクバリし過ぎた日々を
少しずつ取り崩しながら
メベリし過ぎたときめきを
愚かにも取り戻そ ....
迷い子は大人になってもさまようんだ
深い森はいったんはいっちゃうとでれないよ
ここにいるよ発信するあたしのこえ誰かひろってよ
そんなことばかりいってる気がする
一番知りたい答えってない ....
逆立ちすれば、
世界はただしく上下が上下になる。
光は網膜で反転し、
視神経に虚像を届けているから。
こうやって言えば、簡単。
それっぽい。
けど、
言葉で説明されても
それが本当 ....
暗闇
日は陰り片隅に小さく蹲り
音は次第に存在を増す
そして閉ざされた門の中で響き渡る
かくれんぼの鬼のように
孤独に数えられる
何が見える(ざわざわと)何も(ごうごうと)
見 ....
谷底に
毛布を敷いて
300日まえの
ことばを聞いている
気の遠くなる
甘やかさのなかで
遺書のような
うたを編んだ
ねむる
すこしずついのちになりながらねむる
より細かに
よりおおきく
体ができていく
ねむる
この身ひとつのせかいのなかでねむる
じぶんの鼓動がひびく水のなか
ねむる
は ....
石ころひとつ置いてきた
あなたの庭に
あなたがいないあいだに
そっと
昨日もひとつ置いてきた
一昨日もひとつ置いてきた
その前の日も置いてきた
どこにでもある ....
花が咲いて
枯れるくらい
自然なことなら
実も成ったかしら
わたしたち
日も浴びず
水も貰わず
季節を泳ぎもしなかった
朝焼けを閉めだして
つくった夜に
プラスチックで ....
8月の夜が湿気に
汚れては波止場で吠える
中華街から
仕事に出掛ける女姿
触れたのは埃かぶった
アロエのぐんせい植木鉢
ピアノの連弾
サックスの軽快
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13