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帰りの電車に揺られながら、頁を開いた 
一冊の本の中にいるドストエフスキーさんが 
(人生は絶望だ・・・)と語ったところで 
僕はぱたん、と本を閉じて、目を瞑る 

物語に描かれた父と幼子を ....
晩飯のおかずを箸で摘み 
炒めたもやしを、食っていた。 

一本の長く萎びたもやしが 
「風」という文字になり 
誰かの顔のように 
皿にへばりついて、僕を見た。  

もしかしたら  ....
戦中・戦後を生き抜いた 
ある詩人が世を去った後 
長い足跡のつらなりと 
ひとすじの道の傍らに 
彼が種を蒔いていった花々が開き始める 

今迄の僕は 
別の場所で夢を求めていたが 
 ....
太陽 
月 
仏陀 
神 

(それらを含んだ風のしらべよ) 

わたしが昇ればあなたは昇り 
わたしが降りればあなたは降りる 
わたしが歩めばあなたは歩み 
わたしが止まればあな ....
両手をそっと前に組み 
瞳を閉じる少女は 
窓から射す日に照らされた母が 
膝の上に開いた本の言葉を 
じっと、聴く―― 

   * 

数十年後、大人になった彼女は 
街中のとあ ....
ミレーの描く風景の中で 
鍬を手に畑を耕す農夫の汚れた体に 
{ルビ朧=おぼろ}な姿を重ねている 
(透きとおった人)の澄んだ瞳  

遠い異国の風景から、ふりかえり 
あなたをじっと視て ....
何処へ行っても 
同じような人間ばかり住んでおり 
同じような村や町やで 
同じように繰り返される日々―― 

旅を求める私の道は 
人が時空と因果の外へ飛翔する 
あの瞬間 
夢と{ ....
自分の好きな時間割をつくろう 
自分の好きな勉強をしよう 
(チャイムとは、心の中に響くもの) 

ほんとうの時間割は 
先生にもらうものじゃない 
ほんとうの学校は 
決まった通学路の ....
車で信号を待つひと時は 
役者が舞台にあがる前の 
あの瞬間、に似ている 

交差点を 
右から左へ、左から右へ 
車はゆき交い 

のたり、杖をつくお爺さんと 
たたた・・・と駆け ....
食卓の上に置かれた 
一つの{ルビ匙=さじ}は 
天井のらんぷの灯を映し 
遥かな光をのせている 

この右手を同じ形にして 
そっと宙に、差し出してみる 
いつか何処かで――  
あなたに逢った気がする 

あなたのお母さんと 
歌に生涯を捧げたあなたの思い出を 
初めて語り合った日の夜 

生前のあなたも来たという 
故郷・朝霞にある  ....
思いをこめた白球を、無心で投げる。 
霧の向こうから返ってくる白球を、両手で捕る。 
霧の幕が開いてゆく――空白の明日を見据え 
もう一度、白球をにぎる。 
駅前の歩道を歩く 
僕の目線の先で 
吹いた突風に   
電信柱に寄りかかっていた 
自転車はがしゃん、と倒れた 

半袖のYシャツのを着た 
すずしい顔した中学生等は 
「直すとボク ....
草野心平さんの蛙の詩を読み 
古い本を閉じた後 
夜の散歩へと、家の門を出た 


  がわがわがわ 
  がわがわがわ 
  がわがわがわ 
  がわがわがわ 
  がわがわがわ  ....
手のひらを見てごらん 
五つの指紋は 
太古の時を越えて 
君にしゃべっている 
なぜか知らぬが 
私の目の前には 
日々ひとつひとつの穴が、ある。 

この両手に盛ったやわい土で 
一日、ひとつの穴をふさいで 
一歩ずつ、歩いてゆくならば 

ふりかえった背後に、 ....
人形劇の舞台の上で 
おどけた河童の傍らに 
黒子がひっそり、ついていた 

日々の舞台で僕がマイクを手に 
愉快な話をする時、ふいに 
僕を僕にしてくれる 
黒子が背後ですぅと動く 
 ....
白いテーブルかけはだらりと垂れ下がり 
食卓に転がっている 
無数のりんごとオレンジ達が 
ぴたり、と止まっている。 

それぞれに好きな方を向き 
それぞれの位置におかれ 
それぞれが ....
机の上のオレンジ達は 
傾いた皿に身を寄せあい 
なんだかとても、楽しそう 

(日常が、ちょっとずらした視野になる 
 そんな軽みに、立ってみたい    )

いくつもの小さい太陽達は ....
机上の聖書の上に置かれた 
ひとりの骸骨が 
遥かな明日の空を視て、笑ってる。 

骸骨は、恐いものと思っていたが 
全てがそうではないらしい 

どんな人もいつかきっと骨になり 
顔 ....
ふと手にした一枚の紙切れに 
優れた画家のデッサンが浮かぶように 
鏡は少女の清らかな 
一瞬の微笑を映すだろう 

ほのかな{ルビ灯=ともしび}のひかりの中に 
明け方の少女がひとり 
 ....
障子に無数の白い桜が舞っている 
流れてないのに流れてる 
風の姿であるように 

旅先の花巻の宿にて 
窓から射す日向には 
あの黒い帽子を被りうつむいて 
畑を歩く賢治さんの影絵が  ....
鞄から引っ張り出したノートの角が 
勢いあまって目に入り 
白目に赤い線がひとすじ入った 

思わず両手で片目を抑え 
あいたたたたた・・・とうずくまり 
まったくついてねぇや、と目医者に ....
震災から1年の3・11に復興を願い 
仙台で行われた朗読会の前 

主宰者の南ダイケンさんは 
「これ、心ばかりですが・・・」と言い
直筆で「謝礼」と書いた
白い封筒を、僕に手渡した。 
 ....
3月9日・19時51分 
新幹線の待合室のましろい空間 

いくつか穴の開いた空席に 
吸い寄せられるように、一人・・・二人と座る 

一人・・・二人と、すくっと立っては 
待合室を出て ....
賢治は今も、救霊している―― 

僕は、言葉を信じたい 
暗闇に射す光のように 
震える魂を再生する、詩の言葉を・・・ 

今・ここに集う僕等は 
数えるほどの人かもしれない 

で ....
私は今、遠い異国の空の下 
遥か昔に栄えた、廃墟の前に立っている 

まっ青な空に輝く太陽に照らされた 
誰ひとりいない古代の都市で 
幾百年の時を越えて吹く風に 
角の溶けた無数の柱の間 ....
神保町の老舗・さぼうるで 
戦後間もない頃から 
50年、入口に立つ 
80歳のマスターに、僕は尋ねた 

「毎日が単調にならない秘訣は?」 

「特にないねぇ・・・最近体調悪くてねぇ・ ....
心の空が雲に覆われそうな時、僕は 
右手に家の電話の子機を持ち 
左手に携帯電話の子機を持ち 
番号を押して、両耳にあてる 

((もしもし))((もしもし)) 
自分の中の、相談役と聴き ....
浜辺にて、両手で掬った 
無数の砂に 
たったふたつの光った粒は 
あなたと私 

無限に広がる宇宙の闇に 
ぽつん、と浮かんだ地球の中で 
たまたま出逢った 
あなたと私

た ....
そらの珊瑚さんの服部 剛さんおすすめリスト(94)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
天使の声_- 服部 剛自由詩10*13-1-14
風の顔_- 服部 剛自由詩6*13-1-13
夢の署名_- 服部 剛自由詩10*13-1-1
誰かの足跡_- 服部 剛自由詩412-12-18
母の声- 服部 剛自由詩612-11-27
清貧の絵_- 服部 剛自由詩212-11-27
瞑想散歩_- 服部 剛自由詩212-11-22
夢の教室_- 服部 剛自由詩512-11-16
交差点にて_- 服部 剛自由詩1212-11-9
匙の手_- 服部 剛自由詩412-10-24
盃の音ー蕎麦屋・吾平にてー_- 服部 剛自由詩712-10-8
対話- 服部 剛自由詩312-9-20
自転車の目_- 服部 剛自由詩412-8-3
よろこびの歌_- 服部 剛自由詩212-8-1
いのちの声- 服部 剛自由詩512-7-26
道_- 服部 剛自由詩6*12-6-21
黒子- 服部 剛自由詩212-6-7
果実の存在論ーセザンヌ展にてー_- 服部 剛自由詩212-5-29
太陽のうたーセザンヌ展にてー_- 服部 剛自由詩512-5-28
あかるい骸骨ーセザンヌ展にてー__- 服部 剛自由詩812-5-23
ルノアールの少女_- 服部 剛自由詩7*12-5-19
賢治の影絵_- 服部 剛自由詩3*12-4-11
詩人の目薬_- 服部 剛自由詩612-4-5
言葉のゆげ_- 服部 剛自由詩512-3-17
東京駅にて_- 服部 剛自由詩212-3-14
賢治のいのり_- 服部 剛自由詩2*12-3-13
夢の都_- 服部 剛自由詩6*12-3-6
珈琲店・さぼうるにて_- 服部 剛自由詩3*12-1-23
悩み相談ダイヤル_- 服部 剛自由詩412-1-23
夫婦の星_- 服部 剛自由詩3*12-1-13

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