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嫌なことがふりかかると
時計仕掛けの人形のように
鳩尾のあたりに
現れるのは
何だろうか
黒い服を着て
蒼い顔をして
胸の中央に漏斗を置いて
彼は悲しみの液を注ぐ
注がれてぼ ....
異星人の女
ぼくより背が高い
コトバをしゃべる
ぼくを見て笑顔を作る
食事にさそう
女はよく食べる
ベッドに行く
ちゃんと乳房がある
触ると反応する
「チキュウジンニ
ニテイルワネ ....
薄桃色の貝殻
蓋を開けるまで
固く身を閉じている
指の先がはいらない
貝の根元の
薄い毛を撫でる
息をふきかける
声をかける
唇で吸う
貝から液がもれる
蓋が少し開く
指であける ....
笑うと金語楼になると
細くなった母の目を
指さしながら父が笑う
明るいさざ波が立って
子どもたちの顔まで
福笑いの目になる
母が笑う日は少ないが
その笑顔はぼくの
胸の引き出しにある
....
雲を帽子に四人の巨人が
千住の街に立っている
頚に銀色のネクタイをつけて
黒い服を着ている
ぼくが手をふると
こちらをみおろす
狭い路地に入っても
のぞいてくれる
走る電車の窓 ....