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川口の方へ
バスではこばれていると
ひかりに透かして
平熱の町が浮かんだ
病院前駅では
うかがい知れないおもいに黙るひとたちが乗り
次の駅で降りるボタンを
別のひとがつよく押す
一様に ....
淋しさとは
消えゆく炎の眩しさです と先日聞いた
ひとの言葉を思い出す
七輪で
ひとり肉片を炙っている
網のすき間から
火が時にやわらかく伸びるのを見ているが
すぐに消え ....
どうして
こんなに平穏なのか
冥土へと導く と信じられたホトトギスも
いまは五月の鳥
森を抜け
砂の砦みたいな監的哨跡にのぼって
海のまえに出ると
もう詩に出会った気がした
壁 ....
幼いとき
旧電車通り と大人たちが呼ぶ
ながい一本道を渡り
手習いを教わった
空も海もしらない
蛍光灯の平板な光がまぶしい
美しくも醜くもない
手本を右に
半紙をよごしてばかり ....