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静かに窓を閉じる
終わってしまった映画の後で
部屋の明かりを静かに閉じると
空間が水の中に満ちたようになる

溺れてしまうと、答えは出るだろうか
息継ぎをすれば、漏れてしまうだろうか

 ....
ポイントは、スロウ

誰かが間違ったとか、テレビが吐き出しているけれど
それが本当かどうかなんて誰にも、分からなくて
無駄なものを省いてきた、そんなつもりの生き方だけれど
結局何も捨て切れて ....
淡いグレイの海を静かに泳ぐ
誰かの寝息をかき混ぜないように
息継ぎには特に、気を使って

暖かい雨の日に、虹の継ぎ目を待ち侘びている
もう一度の再開、名残惜しい名前を
呼ぶ声を迎えにいける ....
優しく、なりたい

暖かい部屋でうずくまると
人たちの裏側が透けて見える
思うほどには
複雑に出来ていないのかもしれない


優しくなりたい

おはようと言うように
季節を捲って ....
君の欠片がまたひとつ、足りない
玄関を出たところで気付いたけれど
君はそのまま飛んでいこうとするので
あわてて、腕を掴むと
そこからいろんなものが、外れてしまう

繋ぎ合わせようと、もがい ....
玄関のドアを引く
駆け込むようにして進入してくる朝は
少しだけ暗い白
今日も天辺まで積み上がった世界で
濡れたままの人たちが歩いていく

傘を忘れたわけでもなく
濡れることに気付かないわ ....
その名残はもう届かない位置で
懸命に手を振りながら明日に挟まれていく
折り重なり、押し寄せる毎日の隙間
風化する
足跡はもうどこにも残っていないから
辿ることも
手を伸ばすこと、も

 ....
それは どこですか
滑り込むような夕凪ですか


平坦な気持ちを
乗り継ぐようにして目覚める朝には
透明なコーヒーの
一番底にある苦味を
噛み締めるようにして始まりになる
遠くない窓 ....
あたたかい あさ

濡れた地図の上に書き込んだ名前は
滲むように、消えた
始まれない私は
いまだにまるい船の上です


 警笛は
 遠い雲のこと
 進まずに消えるのは
 あの空へ ....
そうして
僕らのこれまでの順路を
紙の上に書き出してみる
その上に雲なんか浮かべたりして
無駄に力を入れて笑ってみたり




過ぎ去ったあとで
自然に昔話ができれば
それはそれ ....
向かい風の吹いている
地図の上です
収縮と膨張を繰り返す波打ち際の
緩やかなカーブをなぞること
波音は届かずに
待ち焦がれるばかりの



海岸線が近い
そうで
少しずつ僕らに迫 ....
空の下には雨中がある
大勢の僕らは包まれながら
漂うばかり
支えるものは見つからなくて
あちらこちらへ、くすぶりながら
時々にはぶつかったりする

足跡ばかりが目立つ夜は
いつだって水 ....
24番目の駅で
赤いきれいな花を買う
枯れないうちに帰れればいい
ここより、どこかへ
帰れればいい

車窓は空を飛ぶ
すべる、すべる、寝息の上を
寝息に夜が積み重なって
もう、こんな ....
時計のゆるり止まるところ
消え行くことが決まりのように
今、ひとつの言葉が終わる
さよならから
さよならで
始まることがあるとして


遠くなっていくことに
手を振ります
僕らの
 ....
その暗がりの
垣根の曲がり角
街灯の忘れた、深いところで
新しい
を待ち焦がれ
いつだって、夢に泳ぐ

暮れては明けて
それが僕らに与えられた規則で
夕焼けには耳の奥で
明日が開く ....
榊が揺れて鳥が鳴いた
庭の隅
雨粒が降りてきた気がする
雨音が聞こえた気がする
冬模様の服を着ようとする頃
紙の上を走らないペンの先で
言葉にならない
遠くの音を待っていた


本 ....
飛び出した街で
晴れない空が
灰色の夢に朝を待っている
電信柱の下の窓辺では
気象予報士が雨だというので
ブラウン管は沈黙したまま
喋らない

ここでは僕等の関係が希薄だというので
 ....
泣き虫だったあの子は今どうしているだろう

眠いだけの午後の中で
当てはまるように浮かんでくる
絡まりそうな思考を
かき分けるように居座る
昔、記憶

ひとつ
指切りで交換した約束 ....
遊星の昇る日
空の縁
半円を描いたら
落ちていく


時々振り返ってみたり、見上げてみたり
大通りの騒音がすっかり馴染んでしまったせいか
空の動きのほんの少しなら、気にならなくなってい ....
それを
望んでいると
思ったばかりの
ところに
球状の
破裂しそうな
言い訳が降りてくる

透明な空には透明な線がある
らしいけど
雲に紛れて今日も見えない
東経139度北緯35 ....
散歩の途中で
くしゃみをすると
塀の向こうから犬に見つめられて、困った
立ち止まって見つめ合ってみるけれど
悪いことをした
わけではなく

少しだけ難しいことを
難しく考えてしまうから ....
どうしようかと
暮れている一日
些細な段差に躓いてみたり
心の縁を爪弾いてみたり


火の上で
ゆれるやかんに
お日様が降りていく
じゅっと
音を立てて
沈んで落ちていく

 ....
思ってみること
ここにいる僕等の存在を
君のその歩幅を


かたかた、と
時計の裏側で回る歯車の
噛み合うその一つ一つを
階段に登っている
繰り返している
繰り上げている

そ ....
緑の海がたなびいて
少しのカーブで横切るレールを
3両編成の電車がすり抜けていく
乗り合わせた肩は語らないまま
ひとつひとつ 暮れていく

天気予報は雨
降水確率は不明
飾らない傘の行 ....
あの空の話





もう遠くなった映像の中では
坂道の向こうの太陽と
薄くなるグレーの空とが
混在していて
蝉時雨
引いては寄せて
寂しさを反芻している

知らない知らな ....
夢は、夜の
街灯の明かり
スポットライトの下で


夢にならない浅い日の
出ていかない言葉を
止まりそうな川に投げ入れて
岸辺の草原の
揺れる夜露の中
反転している街並み

空 ....
この庭を今
黒猫が横切りました
急ぎ足です
影だったのかもしれません

向日葵は私を追い越して
手探りで空へ
夕暮れの角度を真似して
ちょっと斜めに傾いてみると
向日葵と空が
一緒 ....
草原の秘密基地
今はもう影だけで

虫取り網を振り下ろす
残像が目に焼きついた
夕暮れの蝉時雨を
いつまでもそこで聞いていたっけ


通りすがりの車窓から指差した
この草原は僕なん ....
軒下で猫が鳴いた日
街は雨だった
雑音が混じる電話の
聞き取れない君の声
こんな日が原因かもしれない

街に
傘を持って
ついでに長靴も用意した
ばらばらに音が降ってくるので
軒下 ....
街に忘れかけられた
公園のベンチに座って
西日の中の滑り台の上では
始まりかけた夏が
くるくると回っている

夜に向かっている
夕暮れの片隅で
ジャングルジムの天辺じゃ
出たがりの金 ....
松本 涼さんの霜天さんおすすめリスト(34)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
フォルティッシモ- 霜天自由詩607-5-13
アンダンテ- 霜天自由詩1107-5-13
命日- 霜天自由詩706-10-12
季節記号- 霜天自由詩706-10-1
練習- 霜天自由詩806-6-28
雨が積もると- 霜天自由詩1205-6-20
僕らが消えてしまったころに- 霜天自由詩1305-5-2
波浪- 霜天自由詩805-4-8
浮上するサイレン- 霜天自由詩705-3-10
通り雨が過ぎても- 霜天自由詩1505-1-30
白い音の手紙- 霜天自由詩2605-1-13
雨中- 霜天自由詩205-1-7
24- 霜天自由詩405-1-4
- 霜天自由詩305-1-3
- 霜天自由詩605-1-1
言葉にならない- 霜天自由詩704-12-15
ジオラマ- 霜天自由詩504-12-2
ひとつ、ひとりひとつ- 霜天自由詩304-9-17
遊星- 霜天自由詩804-9-13
シャボン- 霜天自由詩604-9-10
そこに当てはまっていく、そのために- 霜天自由詩2604-9-7
沸騰するやかんの底- 霜天自由詩904-8-23
経過、彼方へ向けて- 霜天自由詩604-8-17
包む雨と暮れる人と- 霜天自由詩704-7-23
あの空の話- 霜天自由詩1204-7-20
夜の- 霜天自由詩304-7-19
この庭- 霜天自由詩1104-7-3
夏の引力- 霜天自由詩1004-6-29
距離感- 霜天自由詩504-6-27
忘れかけの公園のベンチで- 霜天自由詩904-6-24

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