すべてのおすすめ
光と影が交差した
あの日、
蝉が死んだ
探し求めた、あの日から
どこへ行ったのか
....
一日の始まりに洗濯をする
きのうの下着やタオルを
まっさらにして天日に干す
暑い暑いといいながら
熱風のような空気の中で
....
風の入らぬ蒸し風呂部屋で
汗を拭きつつもろこし齧る
年に一度の逢瀬より
うだる暑さに流されて
来年こそはエアコンに
冷たくされたい女の ....
台風の目の中で
りんごの皮をむく
なすがままに
つらつらと
一筋の糸のように
あとからあとから
繋がっている
連れてくるのだ
思いだせない何かたちを
そんな蜘蛛 ....
わたしのなかに
雨がふる
あなたのなかに
雨がふる
さらさらと
しとしとと
....
月のない夜、石けり遊び
進める升目は一夜に一つ
蹴った小石がしじまに光る
あなたの石はずうんと進み
あがりをひとり先に ....
濡れて花 あざやかに
なびく風 匂い立つ
雨そそぎ しめやかに
夏を待つ 水無月の
その色は 深く濃く
ひかりの雨 纏う ....
つるりとした
おんなでいたい
煮干しのように出汁がでても
干からびるにはまだちとはやい
やっこのように
醤 ....
右足が重いと
おもっていたら
いつのまにか
根が生えていた
しかたがないので
歩きまわる
根をおろさずに
....
おんなが笑う
おんながしゃべる
おんなが怒り
おんなが泣いた
おんなの寝顔に安堵する
....
アイシテルなんて言葉は
初めて恋したときか
お互いが喜寿も過ぎた頃
おはようのかわりに
しわくちゃな顔で言えばいい
....
それは
人の魂を包むものでした
紫紺の夜空にぽっかりと
白く人魂のごとく
浮かぶのです
隠されているのでした
6枚の 花び ....
きみはなんて意地悪なんだ
今日だしたばかりの春物の上着を
嘲笑うかのように引っ張るなんて
あぁ、きみが気分屋のお天気屋だってことは
....
浴衣をあわせ夏祭り
太鼓の撥がみつからない
山車の担ぎ手きまらない
祭りはまだか、もうすぐか
あなたが来るまで始まら ....
水平線が欲しいと泣いた
混ざらぬふたつが眩しすぎ
泣くしかなかった
空は碧に準じて深すぎて
....
めざしのような
ししゃものおなか眺めては
惚れたと思ったあの気持ち
いったいどこへやったのか
箸でみそ汁つついて探す
夕餉の残 ....
小さなあなたに逢いたくて
路線バスを乗り継いだ
海を追って風を切り
バスは走るどこまでも
裸足のすがた追い ....
かぶとむしを採りに行こう
きみがそう言ったのはいつだったか
荒れ狂う嵐の正体が
悲しみだとも気づかずにいた
そんな夏のできごとだっ ....
髪の一本一本を
毛穴の一つ一つを
しわのあいだを
襞の縫い目を
歯の表を裏を
すべてを磨く ....
夕べ見た理不尽な夢を
起きぬけのコーヒーに浮かべ
スプーンでぐるぐるかきまわす
寝起きの頭はぼさぼさで
....
冬がひきこもっていた
クローゼットを開け放ち
ハンガーにヒヤシンス
春のドレスが花ひらくを待つ
頼りなげな薄手 ....
靜かな小夜の幕が落ち
氷がカランと啼きました
喉を刺すのは涙の小骨
盃を重ねど取れませぬ
刺さった小骨持て余し ....
みぎの手で
みぎの乳房
ひきちぎり
この空が
とわでなくて
よかったと
ふかい ....
道ばたの石ころでした
春になるとかたらわに
青い花が咲きました
今も道ばたの石ころです
冷たく固く凍っています
....
肩を叩かれた
振り返ってひとりきり
だれもが傘をさし
早足で家路にいそぐ
見上げれば顔に降りかかる雨
....
賽の目に
切りながら
豆腐一丁ぶんの
愛がほしいと
てのひらで
哀しみが
揺れる夜
....
うつくしいと
つぶやく声が
聞けるのであれば
この身を
一輪の花に変えよう
うつくしいと
やさしいまで ....
目玉焼きには
塩と胡椒をかけるべきとか
ぜったいに
....
もがいてもがいて
ひたすらに生きようとする
死にたいと言い続けながら
ほん ....
1 2 3