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そのとき、
とおくがみたいと
そうおもった
朝と夜のはざまで
そのひとは背中を向けていた
けむ ....
かなしみが
かなしみが
ふってくる
おともなく
しずけさに
....
この世にあなたがあるかぎり
この身を風になびかせて
とおくの空をあおぎみる
この世にあなたがあるかぎり
思 ....
ふりつみて
漆黒のまつげの先に
しんしんと
どこかでだれか
涙する
まつげにつらら ....
なんと醜いものだろう
ただの肉塊であったなら
赦されたものを
このなかには
潜み蠢くものがある
....
温かなみそ汁が
食べたい
薄い短冊の大根が浮かんだ
真夜中のそれは
少ししょっぱいだろ ....
のびをするいわしが泳ぐそらのした垂れた釣り糸かかる秋晴れ
猫の子と人生につき語り合う泣いてばかりじゃ生きてはゆけぬ
生まれたよ産声あげて風 ....
交わらない
レールのようなもので
いいのです
どこまでも平行線
おなじ景色を観て
それぞれの思いがあ ....
泳ぐのならば
身を切るような
水のなか
冷たかろう
痛かろう
けれどきっと温かい
....
手を繋ぐソーダー水に寄り添ってただ一粒の泡となるまで
ふと違和感を覚えた朝
右足に苦しみが
そうして五日後、
右腕にかなしみが
絡まった
曲が ....
夏をたたむ
両手でしわをのばし
ていねいに
色濃い影をおとした夏も
洗濯され、たたまれると
頼りないほど薄っぺらだ
....
紙を折り色とりどりに祈ります三角のかどはぴんとして
一膳の箸のすがたも美しく背筋を伸ばす五人のしもべ
夜更けすぎ昨日を連れて散歩する買って帰ろうコンビニ ....
きみは黙って手をさしのべた
わたしは黙って寝巻きをおとす
まっくらな部屋のなか
きみの頬がまたそげていた
....
薄縹の空のした浜辺をひとり歩く
潮の香りと眠りの匂い
拾った貝に耳をあてれば
なつかしいひとの声
「元気かい」
....
そのひとは俯くことをせず
まっすぐに前をみていた
履いているジーンズはうす汚れ
家路をいそぐ人々が乗る電車の中
ぽっかりとあいた空間
....
それは声にだした途端
ひび割れ砕け散る
鎖のようにつなぐもの
絡まる蔦のように
知らずに互いを
縛 ....
秋風に頬を染めあげ吾亦紅 小首をかしげあなたを呼んだ
かくれよう さぁかくれよう、さみしさがやってくるまえ眠りのなかへ
疲れたと膝を抱えるきみのそば あしたのそらの尻尾をつか ....
あなたが泣くのなら
そのとなりで
わたしも
黙って泣こう
そう思わずに
い ....
いろんな恋の末に
じゃがいもが
えらんだ相手は
いつも隣りにいた
にんじんで
....
去年のあなたの誕生日に贈ったのは
らくだ色の毛布でした
なににしようかさんざん迷ったすえに
一日の大半を布団のなかで過ごすあなたに
....
キラキラと瞬くことが仕事です三日月の右やや斜めした
眠れずに消炭色にそまるきみ金平糖を抱きしめながら
星のない夜に星を数えています流れる星を貼りつけな ....
日に焼けて今日が傾き茹るころ彼方ひがしに浮くしゃぼん玉
ため息の踏み切り渡った向こうがわ夕日に染まるひぐらしの声
たそがれを薄く流してくるりと巻いてフラ ....
下駄をはく爪さき紅くはにかんだほら朝顔がしじまに惚れた
かなしみのかなしみの声聴こえたら痩せた背中の骨なぞらえる ....
熟れすぎたトマトが割けて溢れだすざぶんざぶんと満ちていく海
まっかですアスファルト脇ほむら立ち鶏冠にも似た真夏の怒り
....
ゆっくりと目覚めた休日の朝
起きるとテーブルにはもう目玉焼きができていた
おはようを交わしたまではよかったのだ
目玉焼きの ....
暑い暑いと胸元はだけ
えりあし抜いて横座り
片手で団扇あおぎつつ
茗荷の香る素麺すする
今さら色気もなかろうに
....
おとこに捨てられた、
だからノラ猫になった
夜空をみあげにゃあと啼いては
まんまるお目目に三日月うつし
うろついた夜の街には
千鳥足の奴らがい ....
あつい雲に夜空は覆われ
月の光がとどきません
それでも夜空をみあげ
かすかな光を探すのです
愛を謡う千の夜がありました
....
焦げつくほどの灼熱の道
このまま歩いて行けるだろうか
じりじりと焼かれ続け
息絶えてしまうのではなかろうか
あぁ、それでも
....
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