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お正月、
特別なその日をくぐる
肩上げの晴れの着物に赤いりぼん
門松は凛々しく
遊び仲間はおすましして
行ったり来たり
どのお正月も晴れていたような
追い羽根の檜扇の実は
音 ....
冬至に至るのだなあ
ゆずだ かぼちゃだ
忍耐を希望へ切り替える
あとは冬を乗り切るのみだ
小さな種を埋めておくこと
冬至の後は
明るさが増すのみだから
きのうまでとは大違い ....
1
薔薇の棘に
誘われて秘密のところへ
行くのだ
死は疎ましいが
痛みはとくとくと滲む
何故だろう、胸もとどろく
恋も仕組みも知らない
しかし脳は準備していた
麻薬と混同と効 ....
1
性細胞が減数分裂するとき
一対の染色体はランダムに遺伝子を混ぜる
個人を規定していた遺伝子の組み合わせが
千差万別となる
劣性遺伝が突然発現するチャンスだ
隔世遺伝と呼ばれたりして ....
1
Yの祖父は最初Yの男親であった
強く頑固で笑わず坊主頭の大男
金色に光る錦江湾と
七色の完璧な稜線を持つ桜島を
並んで眺めた
たった一冊の絵本を読んでくれた
少しでも間違って読む ....
1
7歳の女子Y、何者かに命じられ
人形を手作りすること決意
綿、晒の布、針糸鋏
どこから手に入れたものか
胴体、手脚四本、それぞれの大きさに
チクチク縫った
ひっくり返して綿を ....
瑠美子さんは昔から
玉のような麗人だったが
きのう出会って驚かされた
50代にしては白い素肌
それはいい
話しながら顔を見ると
美とはこんなものかと驚かされる
にこりと笑う瞳の
優 ....
毎日小さなバスに乗る
手を上げないと通り過ぎる
キーッと止まりむーっと出る
少量の客は揺すぶられて
たった100円で駅に着き
たった一本の桜のもみぢ
見つけたから今日は佳し
優し ....
今日の一日かき回し
こうして記すほどのこと
あったかどうか考える
しなびた日々の続く中
秋茄子ほどのつやつやの
変化の兆し賜った
立派な葉を持つコスモスが
時雨の風にもりんとして ....
露の命の彼のこと
託すきみたちもう切るよ
誰にも見返られないで
青い瞳を輝かせ
強い心で今年も咲いた
こうして根っこを抜くとても
冬至がきては冬も過ぎ
春一番につんつんと
....
古里の十年は
丸い石ころみたいに
旅にいざなわれた
山陰に五年もいたら
霧の病に取り付かれ
九州にもどったら
嘘のようにピンクの肌
ロマンスの七年を置き去りに
意気揚々と広 ....
赤い朝顔の種をまいた
心からその色に憧れて
でもそれは涙ぐんだ白い朝の顔
からたちの木をみつけて
白秋とともに歌った
芋虫とも戦った
でもそれは金柑の樹
根っこから変な葉っぱが
....
家人と他人を区別した時
小さな恋の芽がとんがってくる
知らない人だから知りたいと
恋の芽は好奇心
たとえば竹が一本輝いて見えたなら
誰でも中を知りたがる
どんな人?
あんな時こんな時 ....
お盆の上に
ラーメン丼、ふちまでお汁をこれでもかと
お汁の上に炒めた肉を積み上げて
肉の上にレッドペッパーこれでもかと
横にはまっかな林檎一個
しずしずと持ち運ぶ
長い廊下を
食べた ....
あなたは、それじゃ駄目
少しばかり良いことが起こっても
それを怖れる
また悪いことが起こるのではないかと
怖れて
良いことの芽を摘んで
しまおうとする
もう十分に
....
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