すべてのおすすめ
今、私の目の前に存在するネジを巻いたら
昨日西永福の駅で私に舌打ちをした中年と
再び会えるのだろうか。
もしそれが叶うのであれば
私は迷うことなくネジを巻いて
その中 ....
今夜こうして詩を書くけれど
世界中にある様々な不条理や
悲しみや痛みを知らない訳ではない
この国を覆う様々な矛盾も
今こうしている時にどれだけ多くの人が
不安に慄いているかも
ただ今夜 ....
イマドキの女子にとって
バレンタインデーは
好きな男子にチョコレートを渡して
愛を告白する日では
もはやないようである
友チョコといって
親しい女子同士で
チョコレートを贈り合う日で ....
短歌を超える詩が、あってもいい
詩を超える短歌が、あってもいい
詩人も、歌人も夜はおなじ寝床で肌をよせあって
眠るのだとおもう
今日はもうなにも書けなくて
はやくお風呂にはいってあし ....
年賀状が届かなかった
そんな知り合いたちが増えていく
高校時代にはじめて付き合って
胸かきむしるように別れた女性から
朝食のサブウエイにいいね!って
そんなに乾くほどの時間が過ぎてしまっ ....
ふたりで見た海を通る
消したい記憶を消せるほど
ぼくは澄んではいない
吹き消されない光の源
その物真似をしている
ふたりで見た海を通る
消したい記憶を消せる ....
父が撮ってきた家族の写真は
いつも後ろから
母がいつも文句を言っていた
どうして正面から
皆の笑顔を撮らないのかと
でもそんな文句を言う母の顔が
妙にうれしそうなのが
いつも不思議だった ....
貧しいひとの手はなぜか淋しいかたちをしていて
貧しいひとの目はいつも悲しい言葉をさがしています
(本当はとてもきれいなものを求めているのに)
そう、
雪降る夜の冷たさは震える指を動かし ....
一歩近づくと
きみは眠ったまま
本の中
そんなに星ばかりみてたら
雪みたいに溶けちゃうよ、と
さみしい私がささやく
冬のカーテンにくるまって
目を閉じたきみ
プレゼント ....
僕が資材調達課で関根さんが天体望遠鏡を組み立ていた頃総務の峯岸さんが3びきの柴の仔犬をもらってきた
工場の片隅食堂の裏の朽ちかけた木造の社員寮のあたりでわんこは皆に可愛がられながらコロコロと遊ん ....
凪の日が 続いている
折り紙で作った
僕の船のモーターは
折り目正しく回転して
たった一人の乗客を乗せた
ぺらっぺらの乗り物を 水色の平面の 先へ先へと 押していく
ああ これほど ....
さみしいわけじゃないけれど、
なんとなく、
だれかに、会いたい、
だれか、知らない人と、
知り合いたい気分になった。
でも、じつは、
ただの性欲なのかもしれない。
何軒か、
デリに電話 ....
ねむっているとき
ふとんとかさなりあっている
わたしはふとんになっている
あたたかくてきもちいい
わたしとふとんはあたためあう
もうここからはでたくない
わたしのまるまったからだ
ひ ....
空の化石を
定規で測る
本棚に
古い指紋
人がいた
人はいた
肩幅の広さに
干されたままの
下着類
飲み物のない
簡単な食事を
フォークで
唇に運ぶ
言葉への失 ....
額縁が
絵の一部かどうか
ピカソに問えば
立体がどうのこうの
つまり
分析すればわかるらしい
見れば
平面じゃないか
世界は
あのように三次元だと
定義づけるならば
映画館で流行 ....
φの唄を
歌います
謳うわけでは
ありません
それは無償で
あるからです
一つ
羊飼いが
ビジネスに参戦するようです
世知辛いという言葉の意味を
誰からも教えられず
....
幾世紀もの家族がつながった半島の先端
岬はいつもそこにあって
空と海の高さを測り
見知らぬ明日の水平線を描いてきた
海を渉る鳥たちのために
半島に帰る人びとのために
灯りの落ちた ....
長く患っていた父が死にました
お通夜の部屋に潔い木の香りが流れました
父は長く一人だけの眠りを眠り
お線香はくるくると回っていました
わたしたちはチョコレートを
食べました 金色の銀紙を ....
選手もいない
観客もいない
ただマウンドの上に
白く滑らかな豆腐だけがあって
時折吹く風に
ふるふるとしている
気がつくといつも
そんな球場を眺めている
まき水をしてみる
夕立を誘うように
蜃気楼の先から
風鈴電車が走り抜けてくる
虹の橋がゆっくりと空へと伸びていく
....
孤独な家である
夜になると
独り言のように明かりがぽつんと灯る
人の気配はするのだが
玄関がない ことりともしない
死んでいる ....
硬いひざにきみの
頭をのせて
ひとつ、
ふたつ、
みっつ、
よっつ、
いつつ、
歳をとるように静かに
きみはまどろんでしまう
....
とても嫌なことがあって
気晴らしにいつもと違う道を帰ったら
スーパーの裏にあった調剤薬局
何気なく見た張り紙に
「日にち薬あります」と書いてあった
店内はごく普通の薬局で
笑顔の職員が ....
いすは
ひとがすわらなくても
それじたい
ひとのようである
だれもすわらないいす
それじたいが
まるでひとのように
みずからにちんざしている
やかれたひとも
まだ ....
ぼくはずっと、
ぼくという人間が、夢見たことや、
苦しみが報われたり、
いつか救われたいと願うことが、
すべて、
恋愛によって明らかになるものだと、
信じてきたようなところがある。
....
林から叫び声が聞こえる
木を割いたような声である
お客は驚いて
あれは何だ
何が叫んでいるんだ
と尋ねてくる
いいえ
鶏を潰して
いるだけです
控えめに答えると
お客は安心した様子 ....
ひとつになろうと
ひとはいうけれど
わたしたちは
はじめからひとつなのだ
それなのにひとは
ひとりになるために
ひっしにいきているようだった
ひるもよるも
きせ ....
天国も死後の世界も無い
そしてこの世界もないのです
すべては幻
あるような気がしている
誰かがあると思っている
そういうものの集まり
たくさんの
天国があるという思いが
天国を生み ....
夜中にひとり食パンをかじる
バターをつけないで
ジャムをつけないで
電気もつけない
冷蔵庫の前にしゃがんで
はみはみ
虫みたいに食べる
どこか外国から船に乗せられて
海をこ ....
三年は居ると思ったのに一年で帰ってきて
高校を卒業して都会で寮生活をしながら働いて
帰りたくて故郷に帰ったけど 親は怒った
だからお前には無理だから行くなと言ったのに
どこまでも行くと ....
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