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【 雪花 】
あ
雪が
頬触れ
ひらひら
ひらひらと
鉛色の空から
舞い落ちる雪花
白い礫が頬をうつ
熱き恋情抱きしめて
吹 ....
夢の国の住人だった頃、
気が着いたら家に帰っていた。
遊園地の帰り、
おばあちゃんの家の帰り、
いつの間にか
気が着いたら家に帰っていた。
そんな夢の国の住人を
今、僕はだっこして
....
掛ける言葉がない
空白をうめるための夕焼け
匂いもなく 沈黙する季節を
少しだけ足を止めて
言葉の代わりに写し取る
夜に飲み込まれる手前の時間
喉をふさいで通りすぎる
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青
画用紙に青いインクを零したら
晴れやかな空になった
青いフェルトに涙を零したら
透明の染みになった
道端の石ころにも成れな ....
どこかの飼い猫みたいな男が
知らんぷりして
去っていく。
「あの子が欲しい。」
いびつな骨がコートを着て、
耳に残る、首輪の鈴の音だけを追ってしまう。 ....
わからなくていいことが
多すぎる気がする
わかったふりするだけで
一日が終わる
ふる首よりも
うなずくほうが楽でしょ
異論唱えて空気変われば
どっちへぶつかるか
予想できない
....
唇と犬歯が押しとどめた嘘が
行き場をなくして
背を裂き翼を作った
ふれれば破れてしまいそうな
薄い薄い膜のような翼
羽ばたいて辿りつけるのは
明るくない場所だけだったから
月より
....
春になるとお母さんは
いっぱいえんどう豆を買ってくる
それを いつもふたりで
キッチンのテーブルで殻をむいた
学校のは話をしながら
近所の噂話を聴きながら
零れ落ちた えんどう豆を拾っては ....
流れゆく季節の中に
打ち捨てられた想い
『 また、逢えるから…… 』
そう言って笑った
君の白い歯
お互いを忘れない
再会を誓い合って
僕らはそれぞれの街へ
帰っていった
距 ....
許すな、と鳴く虫がいる
頭の中の虫で
その声は私にしか聞こえず
いつかどこかで聞いた声
誰かの声
問い詰める理詰めの声
誰をどうやって
何をどうして
汚したと壊したと言うのだろ ....
赤い月・青い月・黒い月
月はいろんな想いを映してくれる
わたしの心を捕えて放さない
あの月は魔物……
赤い月
男の背中ニ 爪ヲ立て
傷口から滴ル血で
夜の月ヲ 赤く染め ....
わたしの生まれた国には
四季があります
春 桜舞う
人優しく笑い
肩にかかった 花びらはらりと払う
門出の時 別れの時
感極まって 涙する人よ
夏 蝉時雨
突然の夕立に ....
ザアー ザアーッと
出しっぱなしのシャワーの音
激しい雨が 大地を撃ち付ける
街も木も人々も
礫のような雨の洗礼を受けている
この雨がどこまで続くのか分からないが
雨の空間に閉じ込めら ....
生まれて初めて
合コンというものに行った
どうやら
男が童貞であるか、そうでないかは
話の内容や、話し方ではなく
第一印象でわかるらしい
居酒屋の座敷で俺はまるで
金魚鉢に入れら ....
あなたのお墓が山の上だから
息がきれてしまう
ちょっとご無沙汰していました
ほら、こんな所に
空中に割れる彼岸花
男でも女でもなく
オモイデを守っている
見下ろせば海の中 ....
夜ごはんは、
コンビニで、ニラ95円を買って、
玉子がふたつあったので、
ニラ玉。
ご飯をたいて。
へやの中は、
いま、
ニラのにおいが充満している。
充満しているなかを、
昨日 ....
こおろぎの歌が聞こえる独り部屋
カスミさん
会うたびに「はじめまして」と言いますね
記憶を保てないあなたは
世俗の煩わしさに悩むこともないのでしょう
私とは違う 栗色の瞳は
何を追っているのでしょうか
カ ....
目を覚まして こすり合わせる
貧弱なものたちの強い毎日
そんなあなたに ごほうびです
と
満月が二つ出た
願ってもいないことだったが
ひとつは自分用に
大きなポイで掬った
知り合いの ....
今日もいつも通り
という自覚もなく
今日もいつも通り
という毎日が過ぎ
今日もいつも通り
私の隣には君がいる
だけど突然
底なし沼にハマるように
記憶に足を ....
恋しくて雨のソーダ水飲み干したはじける泡よ恋しくてまだ
ものがたり、は続いている泣きながら夜そして昼あなたの時間
たわいなく戯れ過ぎる風としてもふりむかないで首筋にただ
....
名前が流れる
片方の羽がない蜂や
スナック菓子の袋と一緒に
名前が流れる
あんたに呼んで欲しかった
あたしの名前
あんなに呼んで欲しかった
あたしの名前
藍色の夜に
ようやく ....
一陣の風に
吹き飛ばされて
舞い上がるよ
俺の人生
無常の豆腐の上の薬味みたいだなんて
君はわらう
藁のつとのなかで発酵する納豆のように
銀色の糸をひく人生もいいね
ぼくは ....
オーブンレンジが
動くときに聞こえる音に似たうねり
楕円的な渦巻きの軌道
高いところから落ちて破損した
もう聴くことのないCDとそのケースみたいな一日
テレビの ....
その時が来たのならば
全ての窓を開け放しましょう
それが その時であるのならば
まいにち みて いるのだけれど
ひざの上で組まれた指が
互いに爪を立てている
....
歩み進んでも
先は見通せなくて
道は丸まっているのだと知った
ぐるぐると続き
次第にぴったりくっついて
わたしはひとつの幹になる
....
「希望の氾濫のなかで
僕は溺死しそうだ」
という言葉を
何かの本で読んだ
実際僕は
無邪気で無責任な
愛すべきキボウのおかげで
かろうじてなんとか生きている
僕の小さなキ ....
よるの一時にローソンで
たちつくしたのは
きみのせい
かどの雑誌のコーナーで
まちあわせては
タクシーへ
よるの一時にローソンで
あのローソンはここではなくて
このロー ....
わたしが死んだら
なるべく生き物がたくさんいるところへ
なるべくそのままの状態で
置いておいてください
土にかえったり
誰かの一部になったりして
わたしはわたしの
いのちを分解したい ....
もう一度飢狼のように血に飢えて
青春という広野を疾駆したい
しかし私は一匹の弱い羊
牙もなければ爪もない
泣きながら帰る夕焼け
一人ぼっちの夜
もう戻れないあの日
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